中国・韓国の電気自動車(EV)大手が、北陸エリアで販売促進に乗り出している。イーピーエム(EPM)・コーポレーション(北川善昭社長)を中核とするEPMグループは「BYDオート金沢」を金沢市に新設。ヒョンデ・モビリティ・ジャパン(趙源祥社長、横浜市西区)と杉政貿易(杉政朋則社長、富山県富山市)は「ヒョンデ・モビリティ・ラウンジ富山」を開設した。いずれも北陸エリア初出店。積雪地域ながらも「伸びしろは大きい」(北川社長)と見て、EVの潜在需要を掘り起こす。
BYDオート金沢は、EPMグループのEV北陸(北川社長)が運営する。店舗は金沢市の中心部を南北に横断する野田専光寺線入江3丁目交差点付近に構えており、富山県や福井県からもアクセスしやすい立地にある。
同社は昨年、開業準備室を立ち上げて営業活動を開始。ショールームがない中でも40人を超えるユーザーが購入した。北川社長は「(購入者には)集合住宅で充電できない方もいる。それだけに大きな可能性があり、伸びしろはまだまだある」と分析。今後は来店を促す取り組みはもとより、商業施設での出張展示会の開催なども視野に入れ、新店舗での販促を強化していく。
日本の乗用車事業を手掛けるBYDオートジャパン(東福寺厚樹社長、横浜市神奈川区)は、2025年末までに全国100店舗体制を整える計画。基本的に全47都道府県に1店舗を設ける方針だが、北陸エリアについても他のエリアと同様に「需要が大きくなるようであれば、同一県内での複数店舗展開を検討していく」(東福寺社長)、「当社の商圏は北陸3県。複数店舗化は視野に入っている。1店舗当たりの販売台数によっては富山、福井にも出店していく」(北川社長)としている。
ヒョンデ・モビリティ・ラウンジ富山は、北陸エリア初のショールーム。東京ベイ東雲、京都四条、東京丸の内に続く4カ所目の開設となった。店舗内には「アイオニック5」「コナ」などを展示。富山県を中心に北陸エリアにおけるヒョンデ車の販促活動を展開していく。
杉政貿易はこれまで富山県周辺のアフターサービスを担当していた。ヒョンデの商用車も取り扱っており、乗用車と合わせてラインアップを拡充した。今年2月にはヒョンデ・モビリティ・ジャパンとともに富山県舟橋村と「EVを活用した災害協定」を締結。平日は村の公用車としてEVを使用し、土日祝日は地域住民がカーシェアリングとして活用できる取り組みも始めている。
今後、両店舗とも積雪地域という市場環境下で販促活動を展開することになる。ヒョンデ「アイオニック5」にはAWD(四輪駆動)モデルが用意され、BYDについても6月発売予定のセダン「シール」に四輪駆動車を設定する。雪道でも安心して走れる走行性能に加え、車内外で電気機器が使えるV2L(ビークルtoロード)など災害時にも活躍する機能もPRすることで、積雪地域におけるEV潜在需要の掘り起こしにつなげていく。