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2024年4月09日

エネオス 次世代ガソリンスタンド、茨城・牛久市で実証スタート

ENEOS(エネオス)が次世代のガソリンスタンド(給油所)づくりに向けた実証実験をスタートした。茨城県牛久市に、スポーツジムやマッサージなどの店舗を併設した給油所の営業を開始。敷地内には、実店舗への導入は日本初としている路面太陽光発電を設置するなど、環境面にも配慮した。同社では2025年度にかけて、さまざまなサービスや商業施設を組み合わせた実証店を約10店舗開設する計画。実験を通じてさまざまなデータを吸収し、電動車シフトの加速で燃料油の需要減が進む中でも、持続的に成長ができる給油所の方向性を探る考えだ。

第1弾の実証拠点となる「エネオスプラットフォームひたち野うしくサービスステーション」は、3月29日に開業した。敷地内にはゴルフやペット関連などに加え、喫茶店やコインランドリーの店舗も入居した。喫茶店やコンビニエンスストアを併設する給油所は珍しくはないものの、スポーツやペットなどの施設を併設する事例は少ないとみられる。これまでの給油所にはあまり見られなかったジャンルの店舗を充実することで、燃料以外の新規客の取り込みを狙う。

敷地内の路面には、太陽光発電ができる舗装を施した。発電した電力は給油所の照明に活用することで、環境負荷の軽減にもつなげている。また、電気自動車(EV)用の充電器も設けている。EVにユーザーが充電中の待ち時間にさまざまな店舗を利用することによる相乗効果も高めていく考えだ。

同社ではエネオスホールディングスが示した25年度を最終とする「第3次中期経営計画」で、今後本格化するとみられるエネルギーの移行に対応した次世代の給油所や新サービスの開発に力を入れている。EVの充電やリースといった「モビリティ関連」に加え、物流やヘルスケアといった「ライフサポート関連」の機能の充実に取り組む考え。

同社では集合住宅が多く公共交通機関が充実した「都市型」と車での移動が主流の「郊外型」、過疎化や少子高齢化が進んだ「地方型」を定義。それぞれ異なる地域特性やニーズを踏まえ、最適なサービスや店舗の組み合わせなどを検証していくとみられる。

ピーク時に約6万カ所(1995年3月末時点)あった給油所数は現在、半数以下になっている。ただ、生活の足として車の利用が欠かせない地域も多い。この中には、近くに給油所がなく不便を感じているユーザーも少なくない。給油所は地域住民を支える社会インフラ的な側面もあるため、できる限りの存続が求められている。

電動車シフトが確実に進み、燃料油需要も減少していくのは避けられない。今後の環境変化に適応できる給油所の方向性を示せるか、注目される。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞4月5日掲載