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2024年3月15日

トヨタ博物館で「お蔵出し展」 大衆車からバス、二輪車まで

トヨタ博物館(愛知県長久手市)は、日頃保管している収蔵車を特別に公開する「お蔵出し展」を開催中だ。同館では、常設展示の140台のほかに、400台超の車両を施設の内外で収蔵する。こうした車両の中から、大衆車やスポーツカー、バス、二輪車に至るまで、活躍した時代も場所も異なる多様な13台を選び、テーマ別に紹介。「蔵」をイメージした落ち着いた空間で、貴重な収蔵車をじっくり鑑賞できる。

収蔵車の一部は同館のウェブサイトでも見られるが、「お客様から『実際に見てみたい』という声を多くいただいた」と、学芸・企画1グループの鳥居十和樹プロフェッショナル・パートナーは話す。そこで、数ある車両から近年展示していないものを中心に、保存状態がよく、面白いクルマを選んだ。カーペットが敷かれた展示エリアは照明が抑えられ、クルマが眠る蔵のよう。背景パネルには実際に使用している収蔵庫の写真を撮り下ろし、「限られた予算でデザインにもこだわった」(鳥居氏)という。

1950~60年代の大衆車というテーマでは、三菱重工業「コルト1000F」(68年)のほか、世界で初めて無段変速機(CVT)を搭載した乗用車DAF「600」(59年)などを展示。オランダのDAFは、現在は米パッカーの傘下にあり、商用車で知られるため、乗用車の展示に驚く来場者もいるそうだ。

伝説のスポーツカーとして紹介するのはシボレー「コルベットスティングレイ」(63年)、日産「スカイラインGT-R」(70年)、ロータス「エランシリーズ4」(72年)の3台。2021年末に閉館したトヨタ自動車の体験型テーマパーク「メガウェブ」から移管した、人気の顔ぶれだという。

トヨタが海外市場用に開発・生産したクルマを紹介する「日本では見られない日本車」も見どころだ。ブラジルトヨタが生産した「バンデランテ」はポルトガル語で「開拓者」の意味。旧型「ランドクルーザー」をベースに独自の進化を遂げたが、01年にその役目を終えた。展示されるのは同年の最終生産車だ。

64年の東京五輪で活躍したコミューターバスのトヨタ「ライトバス」は、トヨタ車体の若手社員が13年に復元したもので、状態の美しさが目を引く。トヨタ「コースター」の源流にあたるモデルで、丸型のテールランプは「2000GT」にも流用された。開催期間は6月30日まで。この機会に、とっておきの「お蔵出し車」との出会いを楽しんではいかがだろうか。

カテゴリー 展示会・講演会
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞2月29日掲載