会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2024年2月19日

架装・建機・農機メーカー ノウハウ生かし能登半島地震被災地支援

架装メーカーや建機メーカーが、能登半島地震の被災地支援に力を入れている。被災地のニーズを受けて、ワンボックス車ベースの移動式トイレを短期開発したり、道路復旧の支援に向けて特殊車両を提供するなど、キャンピングカーづくりのノウハウや〝働くクルマ〟を活用して、復興を支えている。

キャンピングカーの架装を手掛けるトイファクトリー(藤井昭文代表、岐阜県可児市)は、ワンボックス車にポータブルトイレを搭載した「トイレカー」を開発し、石川県珠洲市で提供した。「被災地で非常に喜んでもらえた。今後の追加製作も考えている」(広報担当者)という。

地震発生当初、同社はキャンピングカーを災害現場で活動する自治体職員に提供した。その際「(トイレの)数が少なく、故障も多く、衛生面も非常に悪いのを目の当たりにした」ことからトイレカーの開発に着手した。そして「企画構想が1、2週間、車両製作は2日という短期間で仕上げた」(同)という。

トイレカーはトヨタ「ハイエース」がベース車で、車内に個室を2部屋設け、それぞれにポータブルトイレ「クレサナ」を設置した。このトイレは便器の中に3重構造のロール状密閉式フィルムパックを備えており、使用後にはパック開口部を熱圧着で自動的に密閉して排泄物と臭いの漏れを防ぐ。こうして、被災地では入手に手間がかかる水や化学薬品を不要にしながら、衛生的に利用できるトイレの提供を実現した。

トイレ設備の支援には、多くの自治体も乗り出した。京都府亀岡市や群馬県大泉町、千葉県君津市などが、それぞれの保有する「トレーラートイレ」(仮設トイレを架装したトレーラー)を現地に供与。助けあいジャパン(静岡県御殿場市)の「災害派遣トイレネットワークプロジェクト」に賛同し実施したという。

生活支援では、被災地の医薬品販売を担う車両「モバイルファーマシー」も注目を集めた。東日本大震災で薬局が津波に流され、薬不足が生じたことを機に開発された車両で、各地の薬剤師会が被災地に送り込んだ。

開発に携わったキャンピングカー製造のバンテック(佐藤徹代表、埼玉県所沢市)によると、ベースがキャンピングカーのため移動中は引き出しがロックされる設計となっており、医薬品が散らかることを防げる。自発電が可能なため、充電設備にも利用できるという。

建機メーカーも被災地の復旧に向けて車両を提供する。加藤製作所は、能登半島地震の被災地へ不整地万能吸引車「IC75MV」を無償で供与した。この車両は路面の広範囲に散乱した砂利や汚水、泥土などを吸引して道路をクリーニングし、道路復旧作業の下地を整える。足回りはクローラ式で、通行困難な道路や不整地での走行にも対応する。

コマツも建設機械やフォークリフトなどの機材提供を表明した。また、タダノ、古河機械金属、日立建機グループ、住友重機械工業、新明和工業、極東開発工業、ヤンマーホールディングスなどが、日本赤十字社や石川県などを通じて、義援金を寄付した。

カテゴリー 社会貢献
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞2月19日掲載