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2024年2月09日

〝旧車〟人気が用品業界でも拡大 当時のデザイン意識した新製品

〝旧車〟と呼ばれる、かつて流行したモデルの人気が高まっている。当時を懐かしむ中高年層に根強い人気があるほか、最近では若い世代が関心を持つケースも目立っており、中古車市場でも高額で取引されている。用品業界でもこうした旧車需要に目を付けた製品を発売する動きが活発になっている。また、劣化などで落ち込んだ性能をよみがえらせる部品の開発に取り組むメーカーもある。古い車両をベースにしたカスタム車づくりを通じて、新たなファンの創出に取り組むところも出ており、今後も用品や補修部品の市場でも旧車の存在感が高まりそうだ。

用品業界での旧車人気の高まりは、今回の「東京オートサロン2024」でも裏付けられた。出展社の中には、旧車向けのエアロパーツといったドレスアップ用品をアピールするところが少なくなかった。さらに、旧車の雰囲気を感じられる新製品をそろえるメーカーもあった。

この一つが、部品メーカーの日本精機。同社は市販用品ブランド「デフィ」から、後付けメーター「レーサーゲージスタイル98」を3月に発売する予定だ。同製品は白い文字盤に、赤い指針が目を引くデザインになっている。開発に当たって「1990年代のスポーツカーなどに採用された白文字盤のアナログメーターに憧れを持つ世代がいる」(担当者)ことから、設計に取り入れたという。

一方、エッチ・ケー・エス(HKS)は、当時の性能を引き出すことができる市販製品の開発に取り組んでいる。日産自動車の「スカイラインGT-R」に搭載された「RB26」型エンジン用のシリンダーライナーがその一つ。同エンジンは、補修用のシリンダーブロックの新品部品が入手困難になっているという。そこで、現在も入手可能な中古ブロックに、シリンダーライナーを装着することで、摩耗部分を補う。エンジンの安定稼働を実現するとともに、ブロックの強度も純正以上になるように設計した。これにより、走行性能や走りのレベルを高めたいユーザーにも対応していく考えだ。

旧車そのものを、自分好みの仕様にしていくことに憧れる層も多い。RE雨宮(雨宮勇美代表、千葉県富里市)は、マツダの商用車「ファミリアバン」に、同社のスポーツカー「RX-7」のロータリーエンジンを載せたカスタム車を制作した。かつて、レシプロエンジンから高回転のロータリーに載せ替える改造は、王道のチューニングとして知られていた。ただ、費用が多額になるため、実現できたユーザーは多くない。東京オートサロンに持ち込まれたカスタム車にも、当時を知るファンが集まっていた。

また、トムス(谷本勲社長、東京都世田谷区)も、旧車を再生するレストア事業に参入する方針を示している。1970~80年代製のトヨタ車の修復を手掛けていく考えだ。同社では30~40歳代をターゲットに設定し、需要を開拓していく計画を立てている。比較的若い世代に安心して乗れる旧車を提供することで、将来的に長く関係を深められる顧客の獲得につなげる狙いだ。

市販用ブレーキ「ウインマックス」が40周年を迎えたエムケーカシヤマ(樫山剛士社長、長野県佐久市)でも、東京オートサロンのブースで同社の歴史を振り返る展示に来場者の注目が集まった。旧車をはじめ、日本のクルマ文化をモチーフとした用品類は今後も需要の盛り上がりが期待できそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞2月1日掲載