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2024年2月08日

トヨタ、25年に紙カタログ終了 販売現場でペーパーレス化と脱炭素加速

トヨタ自動車は、2025年1月に紙カタログの制作と印刷を終了する。順次、ディーラーの店頭での配布をやめ、タブレット端末などで閲覧できる「スマートカタログ」を活用したデジタル商談に切り替える。販売現場におけるペーパーレス化の推進で、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)の取り組みを加速する狙い。ただ、愛車や憧れのモデルのカタログを大切に保管しているユーザーが居るのも事実。紙カタログの廃止を惜しむファンも少なくなさそうだ。

同社のホームページ上で公表した。トヨタブランドで車種ごとに用意してきた商品カタログをすべて廃止する。上級ブランド「レクサス」については現時点で未定。PDF形式のウェブカタログは、従来通り同社の商品サイトで閲覧できるようにする。

トヨタによると、紙カタログは年間約7千㌧の紙資源を使用している。また、紙カタログは全面改良だけではなく、一部改良でも新しいものに差し替える必要があり、古いカタログは廃棄しなければならなかった。今回、紙カタログを廃止することで、印刷や輸送も含めた二酸化炭素(CO2)排出削減量は年間約1万1千㌧に上ると試算している。

紙カタログの廃止で、販売店での商談のスタイルも変わる。現在、系列ディーラー各社はスマートカタログの導入を進めている。これは単に紙カタログを電子化しただけではなく、動画なども容易に閲覧できるようになっている。静止画では伝わりにくい先進運転支援システム(ADAS)の機能なども分かりやすく伝えられる。一つの画面で複数の車種を並べて比較できる機能もあり、効率的な商談が可能になる。営業スタッフと顧客が紙カタログを見ながら商談する姿は今後、珍しいものとなりそうだ。

トヨタではこのほかにも、新車商談のデジタル化を進めている。23年10月にはスマートフォンの決済アプリ「トヨタウォレット」で、顧客自身が割賦手続きを完結できるようにした。若年層を中心に時間効率を重視する「タイムパフォーマンス(タイパ)」意識が高まる中、営業スタッフの業務効率化にもつながるデジタル商談は、顧客と販売店の双方にメリットをもたらす可能性がある。

カテゴリー 社会貢献
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞2月2日掲載