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2024年1月18日

自動車メーカー 「東京オートサロン」実用化もにらんだ多様なモデル出展

世界最大のカスタムカーイベント「東京オートサロン2024」が12日から3日間、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催された。今回、自動車メーカーでは、乗用車メーカーに加えて商用車/二輪車メーカーも出展し、合計9社が、実用化を目指す電動小型モビリティや中古車の改造車などを紹介した。若者のクルマ離れが懸念される中、クルマ好きが集まるとされる東京オートサロンで、将来の実用化を想定しているモデルや個性的なモデルを展示し、来場者からの反応や意見を次世代商品に生かす狙いだ。

ヤマハ発動機は、自社開発した小型低速電気自動車(EV)プラットフォームを採用したEVを実用化する協業先を探すため、東京オートサロンに初出展した。すでに協業している6社とそれぞれ開発中の車両と、ヤマハ発が自社開発した車両の計7台を展示した。このプラットフォームを採用したEVは2025年に実用化する計画だ。

プラットフォームには、ヤマハ発が内製するモーターと、ホンダ製の交換式バッテリー「モバイルパワーパックe:」を搭載する。車台を連結してサイズを延ばすことや、複数のバッテリーを搭載することも可能で、EVの仕様を柔軟に変更できることが特徴。プラットフォームを活用することで小型低速EVの開発費用の低減や開発期間の短縮を図ることができる。

昨年3月に開催された「国際スマートグリッドエキスポ」にプラットフォームを出展したところ、100社以上が関心を示したという。展示会を機にパートナーとなった企業と開発中のモビリティを、今回のオートサロンに出展した。ヤマハ発の担当者は「開発中のモビリティを展示したことで、より具体的な使い方を提案できるようになった」と話す。今回の出展では「来場者の意見を集める」(担当者)狙いもあり、さまざまな意見を、協業先とのEV開発に反映していく方針だ。

また、日産自動車は22年に国内市場向けの生産が終了した小型車「マーチ」の中古車をベースにしたカスタマイズ車を展示した。昨年のオートサロンで出展した小型車「キューブ」のカスタマイズ車が好評だったことから、今回、第2弾としてマーチをベースに製作した。車両のテーマは「パティシエ」で、車両の配色や装飾などは愛媛県にある人気の洋菓子店「ウヅキ スイーツ ショップ」をモチーフにした。来場者の反応を見ながら商品化も検討する。

新車でもセレクトショップ「ビームス」が監修した軽スーパーハイトワゴン「ルークス」を展示した。日産側が打診してコンセプトカーの実現にこぎつけたという。異業種との協業で、自動車業界にはない新しい発想を採り入れた。商品化するには課題もあるものの、来場者の反応を聞くことで次世代車の開発などに生かしていく。

スバルは若者が集まるオートサロンで、クルマだけでなく、若年層向けに新車の購入方法を積極的にアピールした。今夏に新車のサブスクリプション(定額利用)サービスを提供する。サービスはスバルが資本提携しているトヨタ自動車のグループ会社KINTO(キント、小寺信也社長、名古屋市中村区)のプラットフォームを使用する。これによって任意の自動車保険料が高額になる若年層にも月々の支払いを抑えた料金で、スバルの新車に乗ることができる。

スバル車のファンは「スバリスト」と呼ばれ、スポーティーな走りを重視するスバル車のユーザーは、若い層が多い。しかし、全体的に収入が低い若年層にとってスバル車は「高額」だ。スバルは、東京オートサロンでは珍しい新車の購入方法を会場で紹介することで、若いスバリストを育成することを狙う。

カテゴリー 展示会・講演会
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞1月17日掲載