2023年(1~12月)の国内新車販売台数(登録車と軽自動車の合計)は5年ぶりの前年超えとなる477万9086台(前年比13・8%増)だった。新車の供給制約が緩和され、20年以降で最高の販売台数となった。一方、ダイハツ工業の認証不正に伴う出荷停止拡大の影響で、12月単月実績の伸び幅は23年中、最小で着地した。物価高や車両価格の引き上げもあり、拡大基調が続いていた新車市場が転機にさしかかった可能性もある。
20年以降、半導体不足やサプライチェーン(供給網)の混乱などで新車の販売台数は低迷していた。コロナ禍による新車需要の減少もあり、20年に500万台を割り込む(約459万台)と、21、22年は400万台前半の販売水準が続いた。
供給制約は22年秋頃から緩和し始めた。同年9月以降、単月実績ベースでは16カ月連続で前年を上回っている。23年に入ってからは車両供給の安定に加え、販売現場が新車輸送や納車整備の対応力を高めたことも市場の安定拡大を下支えした。
ブランド別では、トヨタ自動車など6ブランドが2桁を超える伸びを記録。トヨタは販売現場への供給台数を昨春に積み増すと、その勢いを夏以降も維持し、最終的には同26・5%増で着地した。レクサスは前年比2・3倍に伸び、マツダなども2桁増を達成した。
日本自動車販売協会連合会(金子直幹会長)が5日発表した23年の登録車の新車販売は、6年ぶりの前年超えとなる303万4167台(同18・4%増)だった。登録車の300万台超えは4年ぶり。乗用車は265万1397台(同19・3%増)で6年ぶりのプラス、貨物車も37万4360台(同11・9%増)で4年ぶりに前年を超えた。
全国軽自動車協会連合会(赤間俊一会長)が同日明らかにした23年の軽の新車販売台数は174万4919台(同6・5%増)で5年ぶりに前年を超えた。乗用車は134万1330台(同9・5%増)で5年ぶりのプラスだったが、貨物車は40万3589台(同2・3%減)で2年ぶりに前年を下回った。
販売台数が順調に回復した23年だったが、12月単月の総販売台数は前年同月比5・4%増の36万2839台。伸び幅が前月比3・6㌽減少し、23年ベースでは最小を記録した。同月下旬の完成車の出荷停止に伴い、ダイハツ陣営がすべての車両の販売を実質的に止めたことが響いた。実際、ダイハツ車の落ち込みによって、軽の販売台数は5カ月ぶりに前年を割り込んだ。ダイハツは24年1月も生産停止を決めており、新車市場への影響拡大は不可避な情勢だ。
国土交通省は、ダイハツ車の保安基準適合確認を速やかに進めていく方針だが、物価やエネルギー高を踏まえ、受注ペースの鈍化を指摘する声も増えている。年明け以降の販売動向が注目される。