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2023年12月20日

サプライヤー製品 「ふるさと納税」で地域貢献、返礼品採用事例が増加

自動車サプライヤーの製品が「ふるさと納税」の返礼品に採用される事例が増えている。JVCケンウッドは、電気自動車(EV)の再生バッテリーを利用したポータブル電源が新潟県長岡市の返礼品に採用された。自動車部品の金属加工などを手がける杉浦(杉浦彰代表、愛知県岡崎市)の子会社、アイロック(古賀琢麻代表、名古屋市天白区)も、精巧なドライビングシミュレーターが愛知県岡崎市の返礼品に採用された。各社は地域振興への貢献を目指す一方、社会貢献活動を含む自社の認知度を高める効果も期待する。

新潟県長岡市の返礼品に採用されたJVCケンウッドのポータブル電源「IPB01G」は、同市にあるJVCケンウッド長岡で生産する。これまでも同社製品は返礼品に採用されており、例えば山形県鶴岡市は、同社製アマチュア無線機「TS―890D」「TS―890S」を返礼品に採用した。アマチュア無線機はJVCケンウッド山形(山形県鶴岡市)の鶴岡工場で生産しており、鶴岡市の返礼品としては初の工業製品になるという。同社は「ふるさと納税返礼品の採用を通じ、さらなる地域振興への貢献を図りたい」と意気込む。

カーエレクトロニクス製品を手がけるパイオニアも音声カーナビゲーションやドライブレコーダーを組み合わせた車載機器「NP1」が埼玉県川越市の返礼品に採用された。NP1は、1970年に同市に設立した川越事業所で生産する。同社は「川越市で生まれたNP1を多くの方へ提供し、利用いただくことで、同市のさらなる発展に貢献したい」とコメントした。

話題を呼ぶ製品が返礼品に採用されるケースもある。愛知県岡崎市が返礼品に採用したのは、アイロックのドライビングシミュレーター「T3R」で、寄付金額は過去最高額の994万円だ。アイロックの親会社で自動車部品の金属加工などを手がける杉浦の本社が岡崎市にある縁で実現した。同社としては、自動車関連の製造業が集積する岡崎市のアピールに自社製品で寄与していく考えだ。

このほかにも、日本プラストはステアリングホイールに用いる本革の端材を利用したコースターなどが静岡県富士宮市の返礼品に採用されている。ファインシンターは、粉末加工技術を利用して製造した「コオロギスナック」や「コオロギラーメン」などが愛知県春日井市の返礼品に採用された。同社は昆虫食事業へ2021年から参入し「焙煎コオロギ飴」「コオロギクランチ」も手がける。

ふるさと納税は、自身が選んだ自治体に寄付した場合、寄付金額のうち2千円を超える部分について所得税と住民税から原則として全額が控除される制度だ。寄付金額ごとに食品や工芸品、宿泊券などの返礼品がもらえる。

総務省によると、22年度のふるさと納税受入額は08年比で約119倍の約9654億円、受入件数は約1036倍の約5184万件で、過去最高を更新した。制度利用者の「選ぶ楽しみ」を増やすことに自動車部品メーカーも一役買っている。

カテゴリー 社会貢献
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞12月16日掲載