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2023年11月27日

秋田で4年ぶり「NEXTモーターフェス」 自動車産業活性化へ連携

若者の自動車産業への興味を喚起し、地元の産業振興につなげることなどを目的としたイベント「あきたNEXTモーターフェスイン横手」が秋田ふるさと村(秋田県横手市)で開催された。自動車ディーラーを中心に県内に拠点を構える部品メーカーも連携し実施するもので、「あきたNEXTモーターショー」と交代で隔年ごとに開いている。今回は販売会社・団体23者がコンセプトモデルや独自コンテンツを出展。さらに新たな試みとして、販社と部品メーカーが共同で車載部品や技術を紹介し、自動車の魅力を多角的に発信した。2日間で約1万6千人の来場者が訪れにぎわった。

NEXTモーターフェスと同モーターショーは、県内の自動車販社と部品メーカーの代表者らで構成する実行委員会が主催。その会長はトヨタカローラ秋田の伊藤哲充社長が務める。モーターフェスでは、車両の紹介が中心となるモーターショーとは異なる視点で、自動車産業に触れてもらう機会の提供を目指している。2019年開催の前回は、中高生の自動車業界への興味喚起に向け、ユーチューバーと連携して秋田市で行った。

コロナ禍の影響で4年ぶりとなった今回は、10月28、29日に開催。伊藤会長は、「ジャパンモビリティショー」と同時期の開催となり、自動車関連イベントへの注目度が高まっていることから「(秋田のモーターフェスは)来場者とスタッフの距離感の近さや、出展者が連携したコンテンツが特徴となる。雑談を楽しんでもらいつつ、モビリティ社会への理解促進につなげていきたい」と狙いを述べた。

会場では、販売各社が多彩な展示を繰り広げイベントを盛り上げた。トヨタ系ディーラーはドライブシミュレーターを用意し、県内4社の社名ロゴをボディーに表示したトヨタ「86(ハチロク)」でサーキット走行を疑似体験できるようにして、子どもを中心に人気を集めた。

加えて、ミネベアミツミ秋田事業所と連携したクイズラリーも実施。同社は、潟上市に拠点を置き、車載アンテナなど通信機器の設計開発を担う。製品は、すでに一部の自動車メーカーに採用されている。ブースでは、衛星からの情報を利用する測位アンテナなどを紹介。「条件が整うとレール幅3・8㌢㍍の電車のおもちゃに搭載して走行させても正確な位置がつかめる」(同社担当)というほど高い精度が特徴という。自動車以外にも搭載できる汎用性の高い製品の開発も進めており、農機具やドローンで採用拡大を見込み受注に取り組んでいる。

日産系販社は、登山用ベースキャンプとしての使用を想定した「キャラバン」のコンセプトカー紹介に加え、モーターなどを製造するアスターとともに、電気自動車(EV)の給電機能を活用したゲームを出展。来場者はコントローラーでファンのついたモーターを操作し、舞い上げた風船をリングに入れるゲームで得点を競った。

出展部品メーカーの中には、県内に拠点開設を予定する企業も多くみられた。「2028年の自動車」がコンセプトのモックカーを披露した東海理化トウホクは、24年に横手市での工場稼働を控える。愛知県の本社で製造するシフトレバーやサイドミラーの一部生産を移管し、120人ほどの現地採用を予定する。

コネクターを生産するイリソ電子工業は、創業者の出身地である横手市に新拠点の開設を計画しており、製品展示に加えて、自社の歴史を漫画形式でまとめた冊子を配布して、事業業容を分かりやすく訴求した。同社のコネクターは、耐振性に強みを持つ。EV普及に伴う需要拡大を見込み、400人規模の新工場を開設して供給体制を強化する。

さらに、体験型の催しとして国内外9ブランド・14車種の試乗会を催した。ほぼすべての試乗枠が埋まるほどの人気を博した。日本自動車連盟(JAF)秋田支部は「子ども安全免許証」の発行や反射能力を測定する「スピードキャッチ」で交通安全を啓発した。

伊藤会長は、今回のフェスを通じて日頃の接点が少ない販売会社と部品メーカーが連携してイベントをつくり上げ、新しい価値の創出や相互理解が図れたことを成果に挙げた。さらに「販売現場としても、新たな切り口からの提案に役立つのではないか。部品メーカーには、普段接することのないエンドユーザーと触れ合う機会になり、好評をいただいた」とし、今後もイベントなどで連携を継続したい考えを示した。

カテゴリー 展示会・講演会
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞11月24日掲載