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2023年11月24日

カー用品 市販カーナビ市場に回復の兆し、新車販売改善が追い風に

低迷していた市販用カーナビゲーションシステム市場で、回復の兆しが出ている。自動車用品小売業協会(APARA、小林喜夫巳会長)がまとめた加盟企業4社の9月の実績をみると、「カーナビ」の売上高は新店込みで前年同月比3・5%増の12億円だった。新車の供給制約が改善したことで、納車に合わせてカーナビを求めるユーザーが増えているようだ。また、カーナビ自体も半導体不足などで、一時生産に支障が出ていた。これも足元で回復していることも販売増を後押ししたとみられる。単価が高く、工賃も稼ぎやすいカーナビの復調は、用品業界の明るい話題となっている。

イエローハットでは「台数基準でみると、22年比で回復傾向」(担当者)と、笑顔をみせる。全体的にカーナビが普及したことから、新車装着車が増えたり、車両の購入と合わせてディーラーオプション品を選ぶ顧客が目立っていた。このため、市販カーナビを求める動きが鈍くなっていた。ここに、コロナ禍で生じた部品不足により、車両やカーナビの供給制約が発生したことも重なり、厳しい状況が続いていた。しかし、これらが次第に改善。同社でも「納車前や直後に購入する来店客が増えている」(同)と、追い風ムードが高まっている。

一方、こうした動きに、慎重な見方もある。オートバックスセブンでは足元の市販カーナビ市場の動向について、「一時的な上昇はあるが、楽観視はできない」(同)と指摘する。供給制約の影響が大きかったコロナ禍と比べれば善戦しているものの、それ以前の水準にはまだ届いていないとみられる。さらに、最近の新車では最初から画面を備え、簡単にカーナビ機能を付加できるディスプレーオーディオ(DA)を標準とするモデルも少なくない。これらは「交換できないものも多い」(同)ことから、先々の交換需要への影響が大きくなるとみている。

ただ、カー用品業界にとって、カーナビは今も花形商品の一つであり続けている。小売店でもカーナビに割く展示スペースは小さくなっていない。こうした商品の販売が活気づき、来店者が増えれば、関連商品をはじめ、さまざまな用品の販売拡大にもつながる可能性がある。この流れをうまく引き寄せられれば、用品市場の活性化につながる大きなチャンスになる可能性もある。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞11月18日掲載