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2023年11月21日

自民・公明両党が税制調査会 24年度の改正議論本格化

自民・公明両党は17日、それぞれ税制調査会の総会を開き、2024年度の税制改正議論を本格的に始めた。今年度の税制改正大綱の検討事項で、自動車関係諸税の抜本的見直しは26年4月末までに検討を進めることとしており、自動車業界団体の要望や世論を通じて議論をどこまで深めることができるかが注目だ。脱炭素や経済安全保障などの観点を踏まえた企業向け減税の「戦略物資生産基盤税制」や「イノベーションボックス税制」なども議論される予定だ。両党は12月中旬までに、与党の税制改正大綱を決定する。

自民党の宮沢洋一税制調査会長は総会のあいさつで、「今日からしっかりと質の高い議論をしていただいて、良い結論をまとめていきたい」と述べた。

自動車業界団体は、従来から一貫して政府・与党に対して「負担軽減・簡素化」を前提とした自動車関係諸税の抜本的見直しを要望し続けてきた。これらを受けて、今年度の税制改正大綱の検討事項には「利用に応じた負担の適正化などに向けた具体的な制度の枠組みについて次のエコカー減税の期限到来時までに検討を進める」と記されている。

政府が進める脱炭素社会の実現や「CASE」(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)に向けた100年に1度の大変革期に直面する中、自動車関係諸税の将来あるべき姿は自動車の枠にとどまらない「モビリティ産業」としての広がりを踏まえた幅広い議論が求められている。

日本自動車会議所(内山田竹志会長)では、10月に公表した「24年度税制改正に関する要望書」の中で、「現在のエコカー減税の適用期限である25年度末に向けては、新たなモビリティ社会にふさわしい税制再構築のための議論を幅広く進め、本年はその礎を築く取り組みが極めて重要と考えている」と記載している。

前の通常国会で話題となった電気自動車(EV)などの普及に関わる走行距離や出力に応じた税制度の導入について、今の臨時国会でも政府見解を求める質問がされている。

10月24日の衆議院本会議で、岸田文雄首相は「政府として具体的に検討しているわけではないが、中長期的な自動車関係諸税のあり方については与党税制改正大綱で引き続き検討課題とされているものと承知している。政府としては与党での議論を踏まえ、対応を検討していく」とした。

EVの普及などに伴う燃料税収減や地方税収減の財源確保に向けて、財政当局などは一定の税負担を求める仕組みづくりを進めることが考えられる。日本自動車工業会(豊田章男会長)や日本自動車連盟(JAF、坂口正芳会長)などは、「走行距離課税」などの新税創設や増税に強く反対している。自動車産業の競争力強化と財源確保の両立に向けて、腰を据えた議論が必要だ。

今年の税制改正議論では、蓄電池や半導体など重要物資の国内生産を企業などに促す戦略物資生産基盤税制や、特許や著作権から得た収益に優遇税率を適用するイノベーションボックス税制などの創設も検討する。このほかに、所得税の減税をはじめ、企業に従業員の賃上げを促す税制の拡充や、資本金が1億円を超える企業に限られている外形標準課税の対象見直しなどについても議論される予定だ。

カテゴリー 会議・審議会・委員会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞11月20日掲載