2023年11月02日
モビリティショー 新興メーカー、小型商用EV市場投入を本格化
新興メーカーが相次いで小型商用電気自動車(EV)の日本を含めた市場投入を本格化する。電機機器の受託製造大手、鴻海精密工業の主導でオープンな環境でEVを開発・製造する「MIHコンソーシアム」が初のライセンシーを獲得、2025年に小型商用EVを日本、タイ、インドに投入する。小型EVのスタートアップ、FOMM(横浜市神奈川区、鶴巻日出夫代表取締役)も交換式バッテリーの小型商用EVを26年から市場投入する。費用対効果への要求が明確な商用車はEVに向く。日本製EVとの争いも注目される。
MIHコンソーシアムは鴻海が主導するEVをオープンな環境で共同開発するプロジェクト会社で、日米欧を含む多くのサプライヤーが参加する。ジャック・チェンCEO(最高経営責任者)は「ジャパンモビリティショー2023」で、初の技術ライセンス供与が決まったことを明らかにした。
ライセンスするのはMモビリティで、EVプラットフォーム「プロジェクトX」をベースに、EVを設計・開発して25年に市場投入する。開発ではインドのテックマヒンドラがソフトウエア開発で協力し、販売・サービスに関しては伊藤忠商事が協力する。
タイ石油公社(PTT)と鴻海がタイに建設しているEV生産工場「ホライゾン・プラス」かインドでの委託生産を検討中だ。価格は2万㌦(約300万円)以上で、年間10万台の生産を見込む。このうち、インドが5万台以上、タイが2万~3万台、残る約2万台が日本と見ている。チェンCEOは「商用EVと多様なソフトウエアツールを提供し、最新モビリティへの移行を目指すフリート向けサービスを提供する」と、強気の販売計画に自信を示した。
FOMMは、バッテリー交換式の小型商用EVを26年に市場投入する。バッテリーを床下に搭載する「FOMM TWOデリバリー・タイプ1」と、助手席にバッテリーコンテナを搭載する「タイプ2」の2機種で、タイのホライゾン・プラスに委託生産する予定だ。
価格はタイプ1が200万円以下、タイプ2が150万円以下。このほか、交換バッテリーのサブスクリプション(定額利用)として月額4万~5万円が要る。日本では家電大手のヤマダ電機で販売する。日本に加え、タイ市場にも投入する予定で、年間5万台の生産を目指す。
FOMMはまた、小型商用EVの日本攻略を本格化するため、出光興産とメンテナンスネットワークでの連携を検討することでも合意した。FOMMのメンテナンスや、ガソリン軽自動車をEVへ改造する事業に、出光の系列サービスステーション(SS)の活用を検討する。
FOMMは、駆動モーターを車輪に組み込む「インホイールモーター」で、横移動などの特殊な走行が可能な小型商用EVを27年にも市販する予定だ。
カテゴリー | 展示会・講演会 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞10月27日掲載