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2023年10月30日

部品メーカー各社 30年代見据えた次世代技術を披露、異業種と組んだ展示も

「ジャパンモビリティショー2023」(東京ビッグサイト、一般公開は28日から)では、自動車部品各社が2030年代を見据えた次世代技術を相次いで披露した。高度な自動運転車やライドシェア、MaaS(サービスとしてのモビリティ)などの普及をにらみ、自社のコア技術を生かした提案が目立つ。異業種と組んでのコンセプト展示も多く、自動車業界内にとどまらず「競争と協調」がより進んでいきそうだ。

パナソニックグループは、35年の暮らしを想定した電動モビリティのコンセプト「モバイルリビングルーム」を出展した。35年ごろの自動車専用道路などではレベル3(条件付き自動運転)程度の自動運転が普及しているとし、会話ができるアシスタントのAI(人工知能)機能や、ガラスの透過度を任意に変えられる仕様を採用した。街中の防犯カメラと連携することで歩行者の飛び出しを検知したり、車外のモニターで歩行者や周辺車両とコミュニケーションするなどの機能も持たせている。

トヨタ紡織は、30年に都市部などで自動運転のライドシェアが普及することを見込み、シートや内装部品を交換できる車室空間「MX221」を提案した。利用者が予約した車を見つけやすいよう、車体に目印を設定する機能や、移動中にゲームを楽しめるエンターテイメント機能、カメラで忘れ物を検知し通知する機能など、ソフトとハードの両面からMaaS車両としての価値をPRする。

矢崎総業(矢﨑陸社長、東京都港区)による「次世代商用車コックピット」も、自動運転を前提としたコンセプト展示だ。車両情報や矢印による進路案内などを大型透明ディスプレーで表示するほか、危険車両の接近などを知らせるLEDサーフェスディスプレーも搭載した。配送ルートや荷室の状況は3D(3次元)で立体表示するなど、3種類のディスプレーでドライバーに必要な情報を提供する。

豊田合成は、小型電気自動車(EV)「フレスビーBEVコンセプト」にコア技術を盛り込んだ。エアバッグをシートベルトに格納した「ラップエアバッグ」や、自動運転時にハンドルを格納する「ロングテレスコ格納ハンドル」で広い車室空間を確保したほか、他社と共同開発するペロブスカイト太陽電池や、マイクロ波給電技術も合わせて提案した。車内システムの電力を〝自給自足〟することで、車載電池の電力を犠牲にしないことをアピールした。

足回りでは、他社との協業をにらんだ提案が目立った。横浜ゴムの「フューチャースポーツタイヤコンセプト」は、タイヤ内部に網目状の構造体「硬度可変スタビライザー」を組み込み、通電させることでタイヤの剛性を変化させる。「スポーツ」モードではタイヤ剛性を上げる一方、「コンフォート」では下げて乗り心地を良くする。

カーブでは外側2本の構造体の剛性だけを高めて安定感を増したり、車載カメラやセンサーが未舗装路や道路陥没などを検知した場合は瞬時に剛性を下げたりするといった応用事例も想定する。10年以内の量産を視野に自動車や材料メーカーなどとの協業を模索する。

「圧電素子」を用い、走行中のタイヤの変形に伴うホイールのひずみを利用して発電する技術を公表したトピー工業も協業相手を募る。素材メーカーなどと連携し、より発電効率の高い素子や固定技術を開発したい意向だ。発電した電力をEVのエネルギーとして活用することも視野に入れており、まずはシェアカーや商用車などで30年頃の社会実装を目指す。

カテゴリー 展示会・講演会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞10月28日掲載