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2023年10月13日

中堅自動車部品メーカー 相次ぎ電動二輪事業参入、コミューター系に商機

中堅の自動車部品メーカー各社が、電動二輪車事業に相次ぎ進出している。武蔵精密工業はインドに現地法人を新設し、2030年に駆動部品を年間100万基生産する。TBKはアルミ製電池ケースの量産を年内にタイで始める。四輪車向けの電動部品は単価が高い半面、メガサプライヤーを含めて競争が激しい。コミューター系と呼ばれる小排気量車から電動化が進む二輪車は、世界シェア5割を握る日系以外に製造メーカーも多い。各社は付加価値を高めた部品を幅広く売り込み、事業基盤を広げたい考えだ。

武蔵精密工業は、ギアボックスとモーターを一体化した電動駆動ユニットを来年2月にも市場投入する。内燃機関車で培った変速機向けの技術を応用し、排気量125ccクラスと同等以上の性能を持たせた。豊田通商などと合弁でインドに現地法人を立ち上げ、30年には年間100万基を供給する計画だ。

TBKは、電動二輪車向けアルミ製電池ケースを年内にタイ工場で量産する。すでに中国のセル(単電池)メーカーから受注を獲得した。まず、月産数百個のペースで生産を始め、段階的に増やす。

ミツバも駆動モーターとコントローラーを一体化した駆動システムを開発中だ。モーターの「占積率」を高める専用の巻線技術を開発し、重量やコストを減らした。年内にインド工場で試作ラインを立ち上げ、27年度には年間30万~40万基を生産できる体制を整える。

二輪車の世界市場は年間で約5千万台ほど。このうちコミューター系が9割を占め、主戦場はインドや中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域などだ。二輪車は四輪車のように大量の電池を積めず、ファン系と呼ばれる中・大型車は電動化のハードルが高い。一方で、コミューター系はファン系ほど航続距離を延ばす必要がなく、電池交換式の事業モデルにも向く。各国政府の優遇制度も追い風に電動化が進み始めた。

二輪車より環境規制が厳しい四輪車でも電気自動車(EV)シフトが進む。ただ、モーターやインバーター、電池ケースなど新たな部品の需要が膨らむ一方で競合も多く、開発や量産競争が激しい。中堅各社は、二輪車や「超小型モビリティ」などの電動化部品に投資を振り向けて生き残りを目指す。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞10月4日掲載