2023年9月14日
自動車部品メーカー各社 電動化対応へ研究開発拠点、国内外に新設
自動車部品各社が、電動化対応を狙いとした研究開発(R&D)拠点を相次いで国内外に新設し始めた。ここ数年はコロナ禍であらゆる投資を絞ってきたが、自動車生産が回復しつつあるなか、研究開発投資の再開に踏み切る。急ピッチで電気自動車(EV)シフトが進む中国や、エンジニアを確保しやすく、自動車市場の成長も見込めるインドで主に電動化技術に特化した開発体制を築きつつあることが特徴だ。
NOKは、中国・無錫にある生産拠点内にEV向けに特化した研究開発機能を新設する検討を始めた。同拠点では、オイルシールなど内燃機関車向け部品を中心に生産しており、EV用の製品開発が急務になっている。新設拠点では、駆動用を含むモーター向け回転シールなどを開発していく考えだ。日本精工も、NSK中国R&D社などを拡充する方針。来年8月に完成予定の新拠点では、電動化関連の新技術や新製品の開発に力を入れていく。
パイオニアは、インドに同社初となるEV関連の研究開発拠点を2カ所設立した。インド政府は2030年までに四輪車で3割、二輪車は8割をEVとするロードマップ(工程表)を掲げる。パイオニアはこうした時流を読み、先んじてインドのEVマーケットにマッチした開発をいち早く行えるようにすることで、先行者利益を目指す考えだ。
車載パワーエレクトロニクス製品を手がけるヘッドスプリング(星野脩社長CEO、東京都品川区)は、日本と比べて5分の1という人件費に着目し、25年までにインド合弁会社の開発拠点におけるエンジニアを現在の約4倍となる100人規模にまで増やす。
国内では、三菱製鋼がEV向けなどのR&D部門を今年度、新設する。リチウムイオン電池の負極材などEV向けに加え、白金などのレアメタル(希少金属)を用いずに動作する燃料電池(FC)向けの触媒技術も開発する。
内燃機関車と比べて、EVは使用する部品点数が3分の1になるとされる。特にエンジンや変速機、燃料タンクや排気管など、EVで不要となる部品を手がける部品メーカーは既存事業の効率化を急ぐ一方、電動車に用いられる新規部品を開発し、成長の新たな柱にしようと開発費を投じている。今後もこうした動きは続きそうだ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞9月14日掲載