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2023年8月22日

リース各社、酒気帯び確認で新サービス 12月にアルコール検知器使用が義務化

自家用車(白ナンバー)を社用車など業務で使う企業へのアルコール検知器の使用義務化が12月に控える中、自動車リース会社が運行管理の負担を減らすサービスの提供に力を入れ始めた。住友三井オートサービス(SMAS、佐藤計社長、東京都新宿区)は、呼気検査の管理や記録が行えるアプリケーションの無料公開を始めた。

トヨタモビリティサービス(村上秀一社長、東京都中央区)も、事業者からアルコール検査を代行するサービスを取り入れた。管理客の法令順守の徹底に貢献することで、顧客の囲い込みに結び付ける狙いだ。

アルコール検知器の使用義務化は、拠点に5台以上の白ナンバー車がある企業などが対象。当初は2022年4月に義務化される予定だったが、半導体不足などで機材が品薄となっていたため、警察庁は延期を決定。一連の課題が解消に向かったため、同庁はパブリックコメント(意見募集)を経て、23年12月に義務化する方針を正式決定した。

事業用車(緑ナンバー)では、すでにアルコール検知器を用いた呼気検査が義務化されている。この枠組みを白ナンバー車に広げることは、安全な交通社会の実現に向けて必要な施策となる。しかし、義務化の対象外だった事業者の運行管理の現場では今後、飲酒確認の記録や保存といった手間が生じる。新たな仕組みを導入すれば金銭的負担も増す。リース会社ではこうした取引先の課題解決につながるサービスを提供することで、信頼関係を深める取り組みを進めている。

SMASは、社有車の管理や運転日報の作成ができるシステム「モビリティパスポート」を提供している。今春、この中の1機能だった呼気検査の結果を記録できる「アルノート」の無料公開を開始した。デジタル管理ができる利点を訴求し、導入企業の拡大に取り組んでいる。同社は無料版の利用企業を増やすことで、そこから有料のモビリティパスポートへの移行につなげていきたい考え。SMASは今回の義務化を有料サービス普及の好機と捉えており、テレビCMの放映量を増やすなど積極的な告知活動を展開している。

トヨタモビリティサービスは独自の社有車管理のクラウドサービス「ブッキングカー」と、呼気検査の代行サービスを連携した。6月下旬時点でのブッキングカーの利用企業数は約100社。代行サービスを新たな窓口に、導入事業者の引き上げに力を入れる方針だ。

内閣府が公表した23年版の「交通安全白書」によると、安全運転管理者を選任している事業所は全国に35万2335カ所(22年3月末現在)あり、管理下の運転者は808万2323人(同)に上る。これらがアルコール検知器の使用義務化の対象になるため、業務負担を軽減するサービスの需要は小さくない。義務化が近づくにつれて、需要獲得に向けた動きが一段と強まりそうだ。

カテゴリー 交通安全
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞8月17日掲載