2023年8月21日
メンテナンス関連が好調! カー用品店、ピットは予約で満杯
カー用品店で、メンテナンス関連の商品やサービスの売れ行きが好調だ。特に、タイヤやエンジンオイル、バッテリーなどの交換を依頼するドライバーが目立つ。2023年は早くから暑い日が続く中、消耗品類に負荷がかかっていることや、コロナ禍が落ち着き車による移動が増えていることが一因とみられる。
自動車用品小売業協会(APARA、小林喜夫巳会長)が公表した6月の売上高報告でも「既存車のメンテナンス需要を背景に、主要商品が好調に推移した」と、こうした動きを裏付ける。盆休みで今まで以上に移動が活発になることで、さらなる需要の伸びも期待できる。
カー用品店大手のオートバックスとイエローハットがまとめた2023年4~6月期の連結決算をみると、両社そろって高い補修ニーズを背景に増収となった。オートバックスセブンではタイヤにおいて、プライベートブランドや同社の専売タイヤなど、低価格帯の製品に人気が集まったという。タイヤメーカーでは原材料や輸送費の高騰などから、値上げを繰り返している。
こうした流れの中で、価格競争力の高い製品の品ぞろえや販促を強化してきたことが奏功した格好。実際、同期の国内オートバックス事業の売上高は前年同期比9・0%増の420億円とし、3年連続の増収につなげた。
同期として2年ぶりの増収かつ、過去最高の売上高となったイエローハット。同社ではタイヤの値上げ前の駆け込み需要をうまく取り込むことで、整備工賃の収入増を実現した。さらに、法人向けではタイヤだけではなく、エンジンオイルの販売が伸びたことも業績拡大を支えた。
7月以降も、補修関連のニーズは引き続き高いレベルで推移しているようだ。酷暑が続いており、エアコンをはじめとする電装系に負荷がかかる中、バッテリーの交換に迫られるドライバーが出ているようだ。
さらに、夏休みやお盆休みなど、まとまった休暇がとれる時期に入るため、長距離のドライブを前提に消耗品類を予防整備としてあらかじめ替える人も少なくない。今夏は週末になると、作業ピットが予約で埋まる店舗も多い。店頭では作業を待つユーザーの姿が目立つことも、足元の好調ぶりを示している。
ただ、良いことばかりではない。両社が頭を悩ませているのが、店舗の運営費の増加だ。エネルギーコストは高い水準が続いており、イエローハットでは水道光熱費を含む販売管理費の上昇を訴える。オートバックスセブンも販管費が増加しているようだ。実際のところ、同期の業績をみると、ともに最終減益となった。
それぞれ影響の度合いに違いはあるものの、好調な需要の裏で足を引っ張っていることに変わりはなさそう。両社は今後、旺盛な補修需要を獲得するだけではなく、いかに無駄なコストを抑制できるかが、通期目標の達成の鍵を握るとみられる。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞8月12日掲載