2023年8月09日
宮城・石巻市が低速EV導入 高齢者移動を支援、産業創出加速も
宮城県石巻市は、市内のあゆみ野地区にある復興住宅で「グリーンスローモビリティ」の運用開始式典を行った。低速で走行する電気自動車(EV)を導入することで、高齢者の移動や外出による健康促進などを図る。車両の設計と製作は、地域の自動車整備事業者が共同で立ち上げた会社が担い、豊田通商の協力も経て車両開発を行った。新たなモビリティの普及を図ることで震災からの復興につなげ、産業創出も加速させたい考え。
同市は2021年7月にのぞみ野地区で同様の取り組みを開始しており、今回が2拠点目となる。車両は、市内の専業整備工場4社で設立したアイモビリティ(阿部瑞樹社長)が手掛けた。豊田通商の協力のもと、トヨタ「プリウス」のバッテリーやモーターなどを使用し、出力制御の知見なども提供を受けた。
充電は、太陽光発電パネルを備えた専用のカーポートを用意し、再生可能エネルギーで環境にも配慮。車両の充電は、有線と非接触型に対応し、4時間程度で8割まで充電可能だという。
車両は、日本カーシェアリング協会(吉澤武彦代表理事)が支援を行いながら、地域の有志が運用を担当する。将来は、デジタルを活用した予約システムなどの導入も検討項目として挙がり、利用状況や要望に応じて内容を改善していく。
また、新たなサービスの導入で産官学の連携による事業創出にもつなげたい考えで、地元の大学との連携も進めていく。自動運転や車両の出力制御は専門の知識が必要になり、阿部社長は連携を通じて「新たな技術展開や地域振興につながれば」と見据える。
カテゴリー | 社会貢献 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞8月2日掲載