日本自動車連盟(JAF、坂口正芳会長)は、電気自動車(EV)向けの新たなロードサービス(RS)として、現場で急速充電する「EV充電サービス」の試験運用をこのほど始めた。まずは東京都、神奈川県、愛知県、大阪府で運用し、順次、全国に広げていく。EVの普及に伴い、電欠による救援要請が増加することを見込んで新たなサービスを開発する。

充電機材を積んだバン型のサービスカーを用い、電欠現場で安全性を確保した上で応急的な急速充電を行う。これまでは電欠したEVを最寄りの充電施設に搬送していた。

EVに関するRSは、今回のサービスカー導入だけではなく事故や故障時の対応など「さまざまな対応を検討している」(JAF)という。RSのニーズや対応策を詰めながら、試験運用の期間や本格運用の開始時期などを検討していく。

EVのRS対応は課題もある。電欠に対応する充電器付ロードサービスカー(給電車)は、車両の大きさなどから救援場所が限られることや、車両価格や維持費が高いため、EVの普及やRS要請件数などを踏まえて段階的に導入していく必要がある。また、車種によって車載電池の位置や高電圧配線のレイアウトが異なるため、事故や故障に対処する際、感電など二次事故を防ぐため事前調査と対応資機材の準備も必要だ。

作業時間、品質、安全確保などが求められるRSだが、JAFは今回の試験運用などを通じて得たノウハウなどをもとに、EV向けRS特有の課題を洗い出し、サービス体制の強化につなげていきたい考えだ。

JAFが2022年度に実施したEVのRS件数は7306件だった。このうち約1割に当たる749件が「EVの駆動用電池切れ(電欠)」だ。21年度実績は非公開のため、20年度実績と比較するとEVのRS件数は1502件増、電欠が原因によるRS件数は176件増だった。ただ、充電網の整備に伴い、電欠による救援要請は足元では減っているという。

JAFの調べによると、EVのRSで最も多い救援内容は「タイヤのパンク、バースト、エアー圧不足」で、全体に全体の約3割を占める。次いで「過放電バッテリー(12㌾)」で約2割を占めている。