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2023年7月20日

女性や初心者の需要取り込め 軽キャンピングカー人気が拡大

ここ数年のアウトドアブームの高まりを受け、キャンピングカーの人気が拡大している。初心者も増えているほか、女性ユーザーも目立っている。こうしたユーザーには、ビギナーでも扱いやすい軽自動車ベースのキャンピングカーが有力な選択肢の一つとなる。架装メーカー各社は軽の取り回しの良さや維持費などの経済性の高さをアピールするほか、快適に過ごせる機能や優れた意匠の採用などの一工夫を盛り込み、新たな顧客層の獲得に力を入れている。

初心者を含め、キャンピングカーの車内で快適性を求めるユーザーが増えている。キャンピングカー制作などを手掛けるKRC(古賀広明代表、福岡県柳川市)は、エアコンの機能を充実させることで、こうしたニーズに応えている。ホンダ「N―VAN(エヌバン)」をベースとした「エヌキャン」の仕様を変更。オプションとして家庭用エアコンとポータブル電源を用意した。これを利用すれば、どの季節でも車内で過ごしやすくなる。

家庭用エアコンは、トラックベースなど大きなキャンピングカーでは一般的な装備だが、軽では珍しい。同社は「軽でもエアコンが欲しいという声が寄せられていた」(担当者)ことから、商品化に踏み切った。実際のところ、「購入者の多くがオプションを付けている」(同)と、ヒットしている。このほか、さまざまな使用環境に合わせやすい対面式シートも強みになっている。

流行に敏感な若い女性のニーズに対応するのは、クルーズカンパニー(青木秀之代表、神奈川県藤沢市)だ。同社の「ピッコロキャンパープラス」は、多様な外板色が特徴の一つだ。青木代表によると、「23年に入ってから20代の女性からのベージュの希望が急増した」ことから、タイムリーにこの色を塗装ラインアップに追加。オプションのポップアップルーフにも同色を用意したという。

女性にとっては、色も重要な購入判断のポイントになる。青木代表は「ブルー系のニーズも高まっている」と見立て、新色の設定を検討している。今後もトレンドの変化を即時に察知しながら、新色を加えていくことで商品競争力を高めていく考えだ。

「ラクネル」シリーズを手掛けるメティオ(能見幸平代表、さいたま市岩槻区)も、色を重要視している。ダイハツ工業の「ハイゼットカーゴ」の限定色「アイスグリーン」の車体をベースとした「ラクネル・リリイ」をラインアップしている。担当者によると、「女性受けなども考え、さわやかな印象を受けるデザインを採用した」という。内装にも木目調のデザインを採用したほか、ブルーのマットなどを配置するなど、女性の好みを意識したこだわりの意匠を取り入れている。

日本RV協会(JRVA、荒木賢治会長)が発行した「キャンピングカー白書2023」によると、加盟企業107社のうち、業界の将来はもっと成長すると感じる意見が64・5%に上っている。

一方で、長期的にニーズをつかんでいくためには、ユーザーが何を求めているかを正確かつタイムリーに把握していく必要がある。今はこの一つが、軽キャンピングカーであると言えそうだ。軽を求める顧客層に対応していくため、今後も商品構成の充実や設備投資に動く架装メーカーが増えていく可能性がありそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞7月20日掲載