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自動車産業インフォメーション

2023年7月19日

自動車メーカー販売店舗形態 「車種専門」「超小規模」広がる多角化の動き

自動車メーカー各社が系列販売網の形態を見直す動きがジワリと広がりつつある。マツダは電気自動車(EV)や整備など、特定の車種や機能に特化した専門店の検討に着手した。トヨタ自動車も「クラウン専門店」の設置準備を進めている。ホンダは、通常より初期投資を抑えた「ローコスト店舗」を展開する。電動化や少子高齢化、デジタル化が同時に進む中、経済成長期に確立した「新中サ(新車、中古車、サービス)」のフルスペック店舗網が曲がり角にさしかかった。

マツダが車種や機能に特化した専門店の検討に入ったのは、現在の約900店舗全てで「新中サ」の店舗形態を維持し続けるのが難しくなってきたためだ。例えばEVの場合、充電器や専用整備機器などの初期投資や維持費がかかるが、普及のペースには地域差もある。全店舗で一気呵成(かせい)に対応するのは資金効率も悪い。このため、従来店よりも広域なエリアをカバーするEV専門店に投資を集中させ、初期投資や運営費を抑えながら電動化を進める。

トヨタは、すでに子会社のトヨタ車体が「ランドクルーザー」「ハイエース」の専門店を出店している。トヨタ本体の施策として、スポーツカー専売の「GRガレージ」に次ぐクラウン専門店を出店する方針だ。看板車種を活用し、ブランド力の強化につなげる。

ホンダは、通常より初期コストを抑えた小規模店を展開する計画だ。ホンダが認めた商圏に限り、建屋面積や看板などの出店条件を緩和し、従来の仕様では投資回収が見込みにくい地域に出店しやすくしたり、既存店舗を維持しやすくする。少子高齢化と電動化が同時進行するなか、独立系の整備事業者では対応が難しい点検や修理が増えることも予想される。正規販売ネットワークの「網目」を小さくすることでホンダ車を確実に点検したり、整備需要の取りこぼしを防いだりする。

こうした専門店の展開は、販売会社独自の前例もある。マツダ系では、神戸マツダがロードスターの中古車に特化した店舗を持つ。マツダは、こうした販社の取り組みを後押しすることも検討する。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞7月15日掲載