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2023年7月18日

夏到来!整備工場の暑さ対策 オートサービスショーで各社が提案

2023年の夏も暑い日が続いており、ほぼ屋外の工場で働く整備士にとって難しい季節を迎えている。気象情報会社「ウェザーニュース」が6月発表した「猛暑見解2023」によると、7~9月の気温は全国的に平年より高くなるという。暑さ対策は整備士の職場環境の改善の重要な要素の1つであり、平均気温が上昇する中で健康への配慮も欠かせない。初夏に開催された「第37回オートサービスショー2023」でも暑さ対策や作業を省力化する商品の提案が多くみられた。

整備機器商社のサンコー(永瀬道晴社長、東京都港区)ブースでは、工場や倉庫の屋根に貼る遮熱シート「スカイシート」を展示した。実験では施工で、夏の室内温度を最大11度下げることを確認したという。シートはアルミニウム箔やUV(紫外線)カット剤が入ったポリエチレンクロスなどで構成する。金属板を折り曲げ下降した折板屋根にも貼り付け可能で、表面温度は裸足で歩けるまでに下げられるという。

イヤサカ(斎藤智義社長、東京都文京区)ブースで出展した日本製紙グループの桜井(佐瀬和彦社長、東京都台東区)は、屋上自然力応用遮熱シート「冷えルーフ」を出品した。シートは屋根に張るタイプで、直射日光を防ぐとともにシートと屋根の間の空気層が熱伝導を抑える。均等に設けた通気穴は空気層の熱ごもりも解消する。一方で、冬季などでは反対に屋根からの放射熱をシートが遮ることで、保温効果を発揮するという。

近年は、世界情勢の不安などから石炭や天然ガスなどの燃料価格が上昇しており、電気代が高騰している。遮熱シートなどで工場内の夏場の温度を下げられれば、冷房温度も高く設定できるようになる。こうした対策商品を用いることで、整備工場の固定費の削減や整備士の職場環境の改善などとともに、SDGs(持続可能な開発目標)の達成にもつなげることができそうだ。

板金塗装(BP)事業者向けでは塗装ブースや塗装設備を手がけるアンデックス(吉田伸社長、広島県尾道市)が開発中の研磨用作業スペース向け冷房機能付き集じん装置を参考展示した。やすりがけで発生した粉じんを集めた後にフィルターでろ過した空気を冷やして冷房に活用する。従来装置は集じん後の空気を屋外に排出するため、空調効果はあまり期待できなかった。同社は設備の進化でBP作業の暑熱対策に貢献していく考えだ。

作業の省力化もまた暑さ対策になりそうだ。イヤサカブースでは、体に装着して動きをサポートする「スマートスーツ・ライト」を展示した。中腰姿勢での作業や、重量物を持ち上げる時の負担を25%軽減し、腰への負担を減らすことができるという。スーツはゴムの収縮力で上半身を起こす力を補助し、連動するベルトが腹部を引き締めることでコルセット効果も得られる。電源は不要で、洗濯ネットに入れて家庭用洗濯機で洗える手軽さも特徴だ。

サンコーが出品した「電動階段台車」は階段での荷物の上げ下ろしをサポートする。整備工場で2階部分を倉庫にするケースは珍しくなく、タイヤやバッテリーなどの運搬に労力が割かれている。一般的に腕力が弱いとされる女性整備士向けに「想定以上の反響をもらった」(同社)という。

カテゴリー 展示会・講演会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞7月14日掲載