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2023年7月12日

政府、自動運転車インフラ計画 デジタル技術活用で「自動運転支援道」整備

政府は、今後10年間における自動運転車のインフラ整備計画の検討に着手した。デジタル技術を活用して自動運転車を支援する「自動運転支援道」を整備し、都市間輸送のほか、2025年度までに全国50カ所、27年度までに全国100カ所で自動運転車による移動サービスを提供する方針だ。官民による投資を通じて自動運転の社会実装を加速し、人手不足など社会課題の解決につなげる。

関係省庁による「デジタルライフライン全国総合整備実現会議」や社会資本整備審議会(国土交通相の諮問機関)の関係会議で詳細を詰めている。自動運転支援道の定義は「ハード・ソフト・ルールの面から自動運転車の走行を支援する道」とした。主に高速道路での整備を想定する。

ハードやソフトの具体例としては、運行マネジメントシステム、高精度地図の配信や合流支援など道路インフラからの情報提供、運行環境情報を取得するためのセンシングなどIoT(モノのインターネット)インフラなどを指す。

まずは、24年度に新東名高速道路の駿河湾沼津-浜松間(約100㌔㍍)に自動運転車用レーンを設定し、自動運転トラックを実証として走らせる。深夜時間帯の第1通行帯(左端)を軸に検討を進める。自動運転「レベル2(高度な運転支援)」から「レベル4(特定条件下の完全自動運転)」のトラックで一定規模の車両を走らせ、レベル4のトラックを順次、増やしていく。まずは、運転手や保安要員を乗せて走らせ、将来的には無人運転による拠点間輸送を実現したい考えだ。

一方、安全性を確保した一部地域で、レベル4相当の自動運転バスや電動カートによる走行実証や事業モデルの確立も急ぐ。自動運転支援道の普及に向けては、廃線跡やBRT(バス高速輸送システム)専用区間などから整備を始め、中期的には幹線道路を加え、将来的には生活道路などでも支援道を整備するシナリオを描いている。

全国各地で行われている自動運転実証の大半は「レベル3(条件付き自動運転)」にとどまる。政府としては、25年度をめどにこれらの実証をレベル4へ順次、移行させる構想を持つ。悪天候でも安全にレベル4車両を走らせるにはインフラ支援が欠かせず、今後の道路整備計画にも反映させることにした。

カテゴリー 会議・審議会・委員会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞7月6日掲載