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2023年7月04日

部品各社が新製品や技術を披露 空飛ぶクルマ関連の展示も

国内最大のドローン(無人航空機)展示会「ジャパンドローン2023」と「次世代エアモビリティEXPO2023」が25~27日に幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催された。自動車部品を手がける企業も多数出展し、製品や技術を披露した。会場では2025年の「大阪・関西万博」で初の実用化が期待されている「空飛ぶクルマ」に関連した展示も目立った。次世代エアモビリティ市場で各社が需要獲得を狙う。

今年でジャパンドローンは8回目、次世代モビリティEXPOは2回目の開催。いずれも日本UAS産業振興協議会(JUIDA、鈴木真二理事長、東京都文京区)の主催で、ドローンや空飛ぶクルマなど次世代エアモビリティの普及・社会実装に向けた取り組みの支援と関連産業の振興が目的だ。今年は前年比52者増の239企業・団体が出展した。

会場ではGMOインターネットグループが出展した米リフト・エアクラフト製の1人乗り電動垂直離着陸機機体(eVTOL)「ヘクサ」に注目が集まった。搭乗トレーニング用仮想現実(VR)シミュレーターの体験ブースも設け、多くの来場者がVRゴーグルを装着して体験した。

また、同社傘下の自動車セキュリティー診断などを手がけるGMOサイバーセキュリティbyイエラエ(牧田誠社長、東京都渋谷区)は、ブース内で「レベル4」の自動運行が主体となるドローンなどの低空域エアモビリティへの不正アクセスに対するサイバーセキュリティーの重要性を訴求した。

自動車部品を手がける企業では車載用クラッチなどを手がけるエクセディが、ドローン用「静音プロペラ」のコンセプトモデルを初展示した。開発では自動車の駆動部品開発で培った流体解析技術を活用。プロペラの翼端板「ウイングレット」などブレード細部の形状も最適化して音圧レベルを低減したという。

また、同社は米国でドローン用モーターなどを手がけるVertiqとパートナーを組み、Vertiq製のモーター、ポジションセンサー、スピードコントローラー(ESC)が一体となったモジュール部品をドローンメーカーへ販売する予定だ。

ドローン用電池パック「ドローン用インテリジェントリチウムイオンバッテリー 12S軽量版」を初公開した古河電池。質量を従来品比で約400㌘軽い約2・2㌔㌘にまで抑えた。一方、最大連続放電電力は従来品比で800㍗㍗低い600㍗のため、主に点検や測量など長時間飛行するドローンへの搭載を想定する。同社の富山工場(富山市)で量産し、2024年4月に発売する。すでに引き合いもあるという。今後、高出力に対応した電池パックも開発する。

双葉電子工業は、クオリティソフト(浦聖治最高経営責任者、和歌山県白浜町)と共同で災害発生時の広域アナウンスや避難誘導の際に有効な「災害対応アナウンサードローン」などを紹介した。すでに栃木県の小山市消防本部が導入している。民間企業も同型機を実証実験用途などにカスタマイズして利用するケースがあるという。

今回、初めて出展したIHIはガスタービンエンジンを搭載したシリーズハイブリッド式エアモビリティ「空飛ぶ軽トラ」の試作機を展示した。同社は物流領域で耐荷重・長飛行に耐えられる機体の開発を行っており、近い将来の実用化を視野に入れる。

また、法政大学発ベンチャーのヒエン・エアロ・テクノロジーズ(御法川学社長、東京都小金井市)は、内燃機関を組み合わせたシリーズ式ハイブリッドeVTOL「Dr―One」のコンセプトモデルを展示した。

矢野経済研究所によると、2025年の空飛ぶクルマの世界市場規模は約608億円の見通しで、50年には180兆円超に大幅拡大すると見る。空飛ぶクルマの事業化では地上インフラや管制システムの構築、法規制、社会受容性などの課題があるが、同社は「(2050年頃には)空に『空飛ぶクルマがない』という今の風景が考えられないほど世界中で発展がみられる」との見通しを示した。

カテゴリー 展示会・講演会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞7月1日掲載