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2023年6月26日

消防車や救急車もEV 「東京国際消防防災展」に最新技術が勢ぞろい

国内最大級の消防・防災展示会「東京国際消防防災展2023」が東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれた。今回は関東大震災から100年目を迎える節目の年だ。会場には最新の車両や技術が勢ぞろいし、日本初の電動消防車(EV消防車)やEV救急車などに注目が集まった。

主催者でもある東京消防庁は、日本初のEV救急車を展示した。日産自動車の「NV400」がベースだ。現在、池袋消防署(東京都豊島区)の「デイタイム救急小隊」が運用している。

消防車最大手のモリタホールディングス(HD)は、日本初のEV消防車「MoEVius(メビウス)」のコンセプトモデルを初公開した。独自開発のEV専用ポンプを搭載しており、追加充電なしで通常の消火活動に必要な放水能力を確保したという。

同社はまた、フィンランドのブロント スカイリフトと共同開発した先端屈折式はしご付消防自動車「Loikka Aerial Ladder」も展示した。電動ポンプ駆動システム「ePTO」を用いるEVシャシーへの対応も視野に入れている。

消防機器メーカーの帝国繊維は、オーストリアのローゼンバウアーが手がけたバッテリー式電動消防ポンプ車「RT」を初公開した。独自技術により、従来の車両と遜色のない放水性能などを確保しているという。車体サイズは全長約7・6㍍、全高2・9㍍、全幅2・35㍍で、車両総重量は約18㌧だ。

自動車メーカーでは、トヨタ自動車が救急車向けの最新技術を披露した。「緊急車両用路面描画ランプ」は、緊急走行時に車幅に合わせたライトを路上に映す技術だ。緊急車両の進路をライトで示し、一般車両が回避しやすくなる効果を見込む。

すでに一部車種にオプション設定している「ITSコネクト」は、救急車が接近した際に、メーター表示部に救急車のおおよその位置や進行方向を表示する。

自動車部品メーカーでは、パトライト(山田裕稔社長、大阪市中央区)が次世代の赤色灯を展示した。現行品は電球が4個だが、開発品は反射板を利用して2個に減らし、消費電力を減らした。24年度下期にも発売する。ヤマハ発動機は、消防車の後部に搭載可能な次世代型電動アシストホースカー「クロスクイッカー」などを出展した。川崎重工業は開発中の無人垂直離着陸機「K―RACER」を紹介し、災害時の物資輸送や状況調査などでの機動性をアピールした。

今回は、関東大震災をテーマにした特設展示エリアのほか、VR(仮想現実)ゴーグルを利用した災害体験コーナーなどが設けられた。また、日米のクラシック消防車両なども注目を集めていた。

屋外では、東京消防庁と米軍の共同で救助活動の実演も実施された。180人の消防隊員と20台以上の消防車両、ヘリコプターやドローン(無人機)、消防艇が参加した大迫力の実演に来場者からは歓声が上がった。東京消防庁の吉田義実総監は「首都東京の防災力向上の一助になったと思う」と語った。次回は28年に開催される予定だ。

カテゴリー 展示会・講演会
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞6月24日掲載