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2023年6月23日

カーケア用品「手軽さ」重視 洗車しやすい商品続々投入

クルマをきれいな状態に保つ上で欠かせない洗車などに使うカーケア用品。最近では、作業効率の向上を意識した製品が市販市場で目立っている。洗車やコーティングの作業には一定の時間や手間がかかるため、負担を感じるユーザーも少なくない。誰もが手軽に使える洗車用品があれば、自分で愛車のケアを行うユーザーを増やせる可能性がある。コロナ禍で高まったカーケア用品の需要は今、落ち着きつつある。新たなニーズを獲得し、市場拡大につなげるためにも〝手軽さ〟のアピールが重要な一手となりそうだ。

ホイールの隙間やグリルをはじめ、洗いにくい狭い部位や複雑な形状のデザインを採用した車両が多い。人気のミニバンやSUVでは、車高が高いことからルーフなど高所も洗車が難しいポイントの一つだ。こうした課題をクリアするため、ホームセンターを手掛けるDCM(石黒靖規社長、東京都品川区)は、「DCM先が割れてる洗車ミトン」と「DCMたっぷり吸水クロス」を23日に発売する。

ミトンは手袋形状の先端部を分けることで内部での横滑りを防止。車体の狭い部分や曲線部分をつかみやすくすることで、洗車しやすい形状を実現した。クロスも吸水性を引き上げたことで、一度で車体全体の拭き上げを可能とした。

カーメイトでは従来品を9年ぶりに改良したはっ水ガラスコーティング剤の「ゼロワイパーフルセット」を市場投入している。従来、最初に使用するベースコートの作業を不要とした。ガラスに付着した水分を拭き取った後、そのままコーティング剤を施工できるようにし、作業時間を従来品に比べて約30%短縮し、3分以内に抑えた。工程を省きつつ、高い機能を実現できるケミカル材もユーザーの支持を集めそうだ。

プロ用のカーケア製品でも、作業効率の向上に重きが置かれている。洗車ツール「ウォッシュマン」シリーズを整備工場向けなどに展開している本荘興産(平井新一社長、岡山県倉敷市)は「オートサービスショー2023」で、ブラシに柄を取り付けることでしゃがみ込むことなく洗うことができる「ウォッシュマン・ザ・モップ」のデモンストレーションを実施。車高が高いワゴン車などのルーフでも無理なく届く設計となっている。

整備現場では日々、入庫車両の洗車に追われている。同社によれば、従来のスポンジ洗車と比較して作業時間を10~20分程度短縮できるとしており、多くの来場者の注目を集めていた。

自動車用品小売業協会(APARA、小林喜夫巳会長)の調査によると、5月のケミカル用品の売上高は前年割れとなった。ただ、「高価格帯クロス、スポンジ、ブラシ、ウォッシャー、油膜取りが好調」(APARA)と、洗車に関連の用品は、一定の需要を保っている。新車市場では電気自動車(EV)へのシフトがみられるが、洗車などのカーケア需要はパワートレインに左右されない安定した市場となり得る。このため、さらに機能性を高めつつ、手軽に使える製品を投入できれば需要の掘り起こしにつながりそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞6月22日掲載