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2023年6月19日

レンタルバイク需要が拡大 若年層やリターンライダー中心に利用

レンタルバイク台数が順調に増えている。全国レンタカー協会による最新のデータ(2022年3月末)は3875台(前年比13・6%増)と3年連続で増加中だ。コロナ禍でバイク人気が高まり、若年層や「リターンライダー」を中心に利用者が拡大傾向にある。専門業者だけでなく、二輪各社もレンタル事業に力を入れている。試乗と比べ、納得いくまで乗ることができるため、新車需要の掘り起こしにも役立っているようだ。

メーカー系では、ヤマハ発動機とホンダ、カワサキモータースがレンタル事業を手がける。中でもヤマハ発は、2018年10月からいち早くレンタル事業を始めた。当初は24店舗でスタートし、今は全国のYSP(ヤマハ・モーターサイクル・スポーツプラザ)など73カ所で貸し出している。レンタル事業を手がけるヤマハ発動機販売(松岡大司社長、東京都大田区)の担当者は「レンタル事業を開始して数年経つ。開始当初とも環境が変化しており、サービス内容の変更も含めて検討している」と、さらなる需要の掘り起こしを目指す。

「ホンダゴーバイクレンタル」を展開するホンダは、「ホンダドリーム戸田美女木」でユニークな取り組みを実施している。一般的にはバイクショップの店内でレンタル手続きを行うが、同店ではレンタル専用の別棟を建てた。これにより、バイクショップの開店とは別に、ツーリング利用を考慮して午前7時から貸し出している。同店を運営する田村充宏代表取締役は「お客さまに満足頂いており、収益も十分確保している」と手応えを語る。

一般にレンタル事業は利幅が薄い。嗜好性の高いバイクはレンタルの繁閑差も大きく、在庫台数や料金設定が難しい。同店では、顧客目線でレンタルバイクの使い勝手を高めることで、貸し出し件数を伸ばし、収益の確保につなげている。

カワサキも21年1月からレンタルバイクに参入している。全国に89店ある「カワサキプラザ」のほぼすべてでレンタルバイクを扱う。同社の担当者は「購入前の検討で貸し出すケースが多い」と話す。バイクも車両価格が上昇し、大型では100万円を超える車両も一般的だ。性能や乗り心地が予想どおりか、最新車両を目当てに訪れるユーザーも増えているという。

二輪各社は、手軽にさまざまなバイクを楽しんでもらうだけでなく、レンタルをきっかけにバイクユーザーを増やそうと事業を続けている。もくろみどおり、二輪需要の底上げにつながっているようだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞6月17日掲載