国土交通省は、7月から高校生らを対象に全国で実施する「自動車整備業における仕事体験(インターンシップ)事業」について、受け入れを希望する事業者の応募総数が1千件を突破し、約1100件に達したことを明らかにした。内訳はディーラーが6割、専業者が4割だ。将来の進路を検討し始める高校生との接点づくりは、自動車整備士の志望者を増やすための一手となり得る。国交省は関連業界とも連携し、この事業を軌道に乗せたい考えだ。

同事業は、国交省が今年度から初めて取り組むもの。全国の高校生、専門学校生、大学生らを対象に、実際の職場で自動車整備の仕事を体験してもらい、自動車整備業に興味や関心を持ってもらうことが狙いだ。リクルート活動を目的としたものではないが、受入事業者にとっては、会社をPRできたり、自社の採用活動に採り入れたりといった副次効果も期待できる。

国交省は、同事業の実施を3月に発表するとともに、今月12日まで受入希望事業者を募集していた。各地で開いた事業説明会には多くの整備事業者が出席し、仕事体験の内容や学生への対応などに関する質問が相次ぐなど関心の高さがうかがえた。同省自動車局の堀内丈太郎局長は「本事業を通じて多くの学生が自動車整備士に興味・関心を持っていただく機会となることを期待している」と語った。

仕事体験の実施期間は7月24日から9月16日を予定する。受入事業者は実施期間中の3日間、自社で考えた仕事体験プログラムを通じて学生に自動車整備士の魅力などを伝える仕組みだ。

高校生は全学年が対象で、卒業3年以内の卒業生も含む。学生の定員は最大300人を予定。このうち150人以上は高校生とする。国交省はPRチラシを作成し、約500校の工業高校、約200校の専門学校などに配布。6月1日から学生の参加申し込みを受け付ける。

自動車整備業界における人材確保は喫緊の課題だ。国交省は「自動車整備の高度化に対応する人材確保に関する中間取りまとめ」を3月にまとめ、今後も同事業を含む対応策を実施していく。