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2023年5月18日

22年EV・PHV世界販売、初の1千万台突破 中国8割増の590万台

国際エネルギー機関(IEA)がまとめた2022年の世界の電動車(電気自動車とプラグインハイブリッド車の合計)販売台数は約1020万台(前年比55%増)と1千万台の大台を突破した。電気自動車(EV)は約730万台(同59%増)、プラグインハイブリッド車(PHV)は約290万台(同53%増)だった。中国が同80%増の約590万台を販売して市場拡大をけん引した。23年は約1400万台(同35%増)に販売が増えるとIEAは見る。

地域別では、中国が全体の6割を占めた。EVは約440万台(同60%増)、PHVは同3倍の約150万台だった。電動車比率は29%(前年は16%)になり、新エネルギー車(NEV)比率を25年に20%に高める政府目標を3年前倒しで達成した。IEAは、EV向け補助金を22年末まで延長したことによる駆け込み需要が販売増の一因になった可能性を指摘した。

欧州販売は約270万台(同15%増)だった。ただ、20年から厳格化された二酸化炭素(CO2)排出規制への対応で急速に電動車販売が伸びた20年、21年と比べると伸び率は鈍化した。国別ではドイツが約83万台と最多で、電動車比率ではノルウェーの88%が最も高かった。米国販売は約99万台(同57%増)だった。新車販売全体が前年比で8%減少する中で大幅な伸びを見せた。

EVやPHVの車種数も格段に増えた。各国で購入できるEVとPHVは22年に約500車種に達し、18~19年ごろの2倍以上に増えた。一方で地域差も大きく、中国では約300車種がそろうのに対し、カナダや日本、韓国は30車種以下にとどまった。中国を除きPHVの存在感が相対的に薄まったことも特徴で、欧州ではEV販売が30%増加したものの、PHVは3%の減少。米国ではEVが70%増加した一方、PHVの増加率は15%にとどまった。

ただ、現状の電動車はプレミアムセグメントやSUVの比率が高く、量販価格帯の車種は少ない。大容量の車載電池を積む車種が大半で、IEAは「重要鉱物のサプライチェーン(供給網)の持続可能性に影響を与える」と懸念した。ただ、中国では手ごろな価格のEVが相次ぎ投入されている。22年の小型EVの平均価格は1万㌦(約140万円)以下で、欧米の3万㌦(約410万円)を大幅に下回った。

主要地域の1~3月販売実績を踏まえ、23年の電動車販売は新車販売全体の18%にあたる約1400万台に増加するとIEAは試算した。中国では22年末の駆け込み需要の反動が出る可能性があるが、1~3月の販売は前年同期を上回っており、通年では800万台に達する見通し。

米国もインフレ抑制法(IRA)による投資やEVへの優遇などを理由に「23年以降も販売台数の増加が続く」とみている。米国では、環境保護庁(EPA)が提案した27年以降の排ガス規制厳格化を「発効前でも販売を押し上げるシグナルになる可能性がある」と分析した。下振れリスクとして「世界経済の低迷」「中国のNEV補助金終了」を挙げたが、石油価格の高止まりも世界の電動車販売を後押しする見通しだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞5月6日掲載