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2023年5月17日

高山自動車短大 モータースポーツセンター開設、学びの場拡充

高山自動車短期大学(坂井歩学長、岐阜県高山市)は、キャンパス内に新しい学びの場として「モータースポーツセンター(MSC)」を開設した。モータースポーツに加えて、大型車や二輪車、さらに新しい技術への対応を見据えて設備を充実した多目的・多用途な教育施設だ。モータースポーツ教育への取り組みなどを推し進め、他校との差別化を図り、同校のブランディング強化などにつなげる。

同校は長年、ラリーをはじめ、フォーミュラや二輪、レーシングカートといったモータースポーツ関連のカリキュラムを幅広く取り入れてきた。学生が主体となって競技に参加し、実践的に学べるスタイルの先駆者的な教育機関として名高い。

モータースポーツの競技車両は、時には限界を越える厳しい環境下で使用されるため、メンテナンスの優劣が勝敗を大きく左右する。MSCの開設は、このような緊張感を学びつつ「整備士としての矜持(きょうじ)を持ち合わせてほしい」(坂井学長)との思いと「モビリティを純粋に楽しんでもらいたい」という狙いを実現するための取り組みでもある。

MSCは旧実習棟跡地に建設した。1階建てで規模は延べ床面積が約920平方㍍。エアコンを完備し、季節を問わず学習に集中できる環境を構築した。学内各所で個別に行ってきた授業をMSCに集約し、一気通貫で行える体制も整えた。これらを生かして、教育の効果と〝学生満足〟のさらなる向上を目指す。

自動車整備士の新たな資格制度が2027年1月に施行され、同年3月の試験から新制度に移行される。新制度では二級の「ガソリン」「ジーゼル」などの資格が統一され、電子制御装置関連や二輪車の知識なども求められるようになる。

それに伴い、同校は25年度から新たなカリキュラムをスタートする予定だ。MSC開設は、新制度を見据えた教育体制へスムーズに移行する狙いもある、例えば実習エリアの柱と壁を極力減らし、天井も十分な高さを取り、大型車が自走で出入できる空間を確保したことに、その意気込みが示される。

学生がマイカーを自ら整備する環境の充実も、MSCの狙いの一つとする。従来から学生専用整備スペース「D・I・Yピット」を設置していたが、ここに加えてMSCで重整備や二輪車の整備が行えるようにした。実際に公道を走る車両の整備も経験してもらい、卒業後に就職先でいち早く活躍できるように支援する。

2年前に開設した実習授業施設「実習センター」と併せて、学生への快適な学習環境の提供を進める。電動化に代表される新技術や整備士資格の新制度への対応を念頭に、教育体制とカリキュラムの充実に注力していく。教育機関として人材づくりの取り組みを自動車業界に示すことで、自動車整備士の就労環境の向上にもつなげたい考えだ。

竣工式で坂井学長は「MSCを確実に有効活用しながら、教職員一同、施策を考え、より良い大学として社会に認知され、ひとりでも多くの自動車整備士を輩出できるよう努めていく」と述べ、来賓や関係者らに決意を示した。

カテゴリー 会議・審議会・委員会
対象者 大学・専門学校,自動車業界

日刊自動車新聞5月12日掲載