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2023年4月21日

大阪トヨタ 防災イベントで地元大学と連携、まちの安心安全に貢献

大阪トヨタ(小西俊一社長)は、住民参加型の防災啓発に取り組んでいる。地元の大学などと連携し、災害発生時の避難先や安否確認の手順を周知するほか、実際の避難手順を体験できる集合型イベントを開催するなど、ディーラービジネスの枠にとらわれない活動を展開する。関西エリアでは将来的な「南海トラフ地震」の発生が懸念されており、同社商圏では津波被害などが想定される。こうした中、CSR(企業の社会的責任)の一環として防災活動を積極化し、地域の安心、安全への貢献を目指す。

同社は3月19日、本社(大阪市福島区)そばの福島公園で「安全安心な暮らしにつながる防災を学べるデー」を開催。同公園の地域イベントに参加する形で、燃料電池車(FCV)「ミライ」による外部給電をデモンストレーションしたほか、災害発生時の避難行動を疑似体験できる「防災まち歩き」を実施した。

イベントの目玉となるまち歩きは、参加者に近隣の防災拠点を実際に訪ねてもらい、災害発生時の避難先を周知するもの。1回当たり約1時間の行程を計5回実施した。各回とも10~15人の老若男女が集まり、同社スタッフらの説明を受けながら地元の防災拠点を回った。

企画には地元の大学も協力した。2021年に同社と防災協定を締結した大阪大学人間科学部・人間科学研究科の学生・院生5人がボランティアとして参加し、イベントの説明や路上での誘導を担った。そこでは防災拠点をスマートフォン上で確認できる「災救マップ」アプリも活用した。同科で地域共生に携わる稲場圭信教授は「大阪トヨタのような自動車ディーラーは府内に多くの拠点を構えており、防災を考える上で頼りになる存在。今後もさまざまな連携を模索したい」と話す。

同社がまち歩き企画を実施するのは今回が初めて。事前予約制とした参加枠は開催までにほとんど埋まったという。担当者は「駅施設などでの告知にとどめ、ディーラー店頭での案内などは積極的に実施していなかっただけに、これほどの盛況は驚きだ」と話す。

防災啓発を通じて、既存顧客以外の地域住民との接点を創出できる点も大きな成果と見る。同社は20年までトヨタ傘下の直営販社だったこともあり、「長年にわたり事業を営む地場ディーラーに比べると、地域とのつながりはもっと深める余地がある」(同)という。これまで取引のなかった住民との関わりをつくることで、防災への貢献はもちろん、将来的な車両販売への寄与にも期待する。

今後は店舗ごとのイベントにも防災を組み込むなど、自社独自のコンテンツとしても育てていく考え。大阪府北部地震の発生から5年となる6月に向けても、啓発活動を積極化したいとする。「クルマを使った外部給電などの紹介はもちろん、クルマに乗っている際の避難手順の周知など、ディーラーだからこそ取り組むべきことはまだまだ多い」と先を見据える。

カテゴリー 社会貢献
対象者 大学・専門学校,自動車業界

日刊自動車新聞4月14日掲載