2023年4月11日
自衛策講じて愛車守れ! 車両盗難件数が再び増加
減少傾向にあった車両の盗難被害が再び増加に転じている。日本損害保険協会(白川儀一会長)が把握している2022年の車両盗難件数は、前年比9・5%増の2656件。ここ数年はコロナ禍で被害が少なくなっていたが、移動制限の緩和などもあり、犯罪グループの活動が活発になっている可能性がある。
こうした事態に、自衛手段を講じるユーザーが目立っている。オートバックスセブンでは「ステアリングロックなどの固定具の販売が伸びている」という。こうした用品は比較的安価なものの、目に見えやすく窃盗の抑止効果も高いことから、今後も販売が拡大しそうだ。
車両盗難では22年、トヨタ自動車の四輪駆動車「ランドクルーザー」の盗難件数が2年連続でワーストワンだった。盗難件数は450件で、前年から119件も増加した。10位以内にはレクサス車が3車種入ったほか、「ハイエース」など国内外で人気のモデルが多い。同協会では「入国制限の緩和で国際的な犯罪組織が入国しやすくなった」(広報)ことも要因の一つとみている。また、「中古車価格の高騰もあり、高額車が狙われやすくなっている」(同)と注意を呼び掛ける。
近年は車両側に盗難防止機能が標準装備となったり、オプションで機能を拡張するユーザーも増えている。システム自体も高度化が進むなどしてきたことから、車両盗難は減少していた。しかし、足元では盗む側の手口も巧妙となり、施錠していたにも関わらず被害を受けた事例も少なくない。
このため、さらなる一手として、視覚的効果の向上につながる防犯用品に目を向けるユーザーが増えている。例えばステアリングを固定する防犯用品は1万円以下で購入できるものが多いが、舵を切るのが困難になるため盗まれにくくなる。機器を取り外すのにも時間がかかることから、犯罪者側も避ける効果も見込める。こうした傾向を受け、オートバックスセブンでは「対策用品のラインアップを拡大している」とし、品ぞろえや売り場面積を広げるなどして需要に対応する考えだ。
車両盗難だけでなく、22年は車上狙いも同4・3%増の971件に増加した。ユーザーの安心や安全を守っていくためにも、損保や用品を含め業界全体で一層の対策強化が求められそうだ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞4月8日掲載