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2023年4月06日

塗料メーカー各社 水性の品ぞろえ拡大、SDGsや労働環境へ配慮進む

塗料メーカー各社で、環境対策や作業効率の向上につながる製品を増やす動きが加速している。今春の新製品でも水性塗料を本格展開するメーカーが目立つ。補修用塗料を使う板金塗装(BP)工場でSDGs(持続可能な開発目標)への対応が迫られているほか、作業者の働く環境に配慮する事業者が増えているためだ。

こうしたニーズに塗料メーカーも反応し、ラインアップの追加などを急いでいる。BP工場での選択肢が広がることで、補修用塗料の市場活性化につながる可能性もある。

4月から水性塗料の取り扱いを強化するのは、関西ペイントとアクサルタコーティングシステムズ(斎藤友良社長、東京都港区)。関西ペイントは塗料業界初の耐スリ傷性クリヤーとプラスチックプライマーなどを追加したオール水性システム「レタンWBエコ EVシステム3・0」の全国販売を始める。アクサルタは「フル水性システム」に、欧州で先行発売したサフェーサー「PS1300」を追加。プライマーやクリヤーなどと合わせた同システムの品ぞろえを充実した。

両社は、本格展開までに品質や性能の改善に力を入れてきた。関西ペイントは2022年12月から試験販売を実施。環境面のほか、塗装しやすい溶剤並みの作業性も確認し、全国展開に踏み切る。アクサルタも欧州で改良を重ね、乾燥時間や塗装面の仕上がりを改善してきた。高い商品力を武器に、BP事業者への導入拡大に弾みをつける。

一方、日本ペイントは作業者の負担軽減に向け、手間がかかる調色作業を効率化する新システムを発売する。新製品の「COLOBO(カラボ)2」は、従来システムからハード面で色を読み取るカメラを変更。メタリックカラーの粒の具合を示す「粒子感」を認識する能力を引き上げ、調色精度を高めた。これにより、無駄な塗料の使用を減らすことができると同時に、調色時間の短縮につながるという。

また、塗料の使用量を管理できるアプリケーションも追加。最初の調色から実際のカラーに近づけるための調整作業までにかかる塗料の使用量を計算して管理する。従来は最初の調色までしか管理できなかった。作業全体の使用量を把握しやすくなったことで、BP事業者のコスト計算も支援する。

BP業界では働く環境の改善や人材確保に水性塗料が、調色システムは現場の人手不足の中で人材育成への活用に期待されている。塗料各社がこうした需要に対応する製品の開発や市場投入を進めることで、こうした製品に切り替えを検討するBP事業者が増えていきそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞4月1日掲載