2023年4月05日
首都圏・本社移転、22年は過去最大規模の転出 BCP対策やコスト削減で
帝国データバンク(後藤信夫社長、東京都港区)は、2022年の「首都圏・本社移転動向調査」を公表した。22年に首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)から地方へ本社や本社機能を移した企業は335社だった。転出が転入を77社上回り、過去20年で最大規模の転出超過となった。ソフトウエア産業を中心に中核都市や地方都市に本社を移転する動きが広がっている。BCP(事業継続計画)対策やオフィス賃料などコストの削減も〝脱首都圏〟の動機となっているようだ。
首都圏における転出超過は12年ぶりに2年連続となった。22年に転出した企業数は19年比で1・4倍に増加し、過去2番目に多い。一方で、地方から首都圏へ転入した企業は258社と、過去20年で最少だった。
首都圏から転出した企業の中で最多の業種は、サービス業の129社だった。このうちの29社がソフトウエア開発やITベンダーなど、先端技術産業を含むソフトウエア産業だ。次に食品メーカーなどを中心に製造業が68社となり、10年ぶりに60社を超えた。転出先は、茨城県の34社が最多で、次いで大阪府の30社、愛知県の24社と続く。
同社は、企業の転出動機について、コロナ禍を経てウェブ会議を活用したビジネススタイルなど、場所に捕らわれない働き方の普及が影響しているほか、固定費削減を目的にオフィス賃料の安い地方を選ぶケースがあると分析している。一方で「新たなビジネスに挑戦したい」という前向きな動機で首都圏から移転する企業もある。また、BCP対策の一環として首都圏外へ拠点を設ける企業も増えているようだ。
デジタル技術の発達や変わる働き方を踏まえ、企業の中では「首都圏に必ずしもオフィスを置く必要がない」という認識も広がりつつある。企業の「脱首都圏」の動きは今後も続くと予想される。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞3月28日掲載