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2023年4月05日

モネ・テクノロジーズ 自動運転サービス本格化、23年後半から自治体に提供

道路交通法の改正により、自動運転を用いた「サービスとしてのモビリティ(MaaS)」事業が本格化する。モネ・テクノロジーズ(清水繁宏社長、東京都千代田区)は、人工知能(AI)を遠隔監視に活用した自動運転サービスを2023年後半から自治体などに提供していく。1人で10台程度を遠隔監視するなど運行効率を高めた移動関連サービスが、実証から事業化へのフェーズに入る。

同社はトヨタ自動車とソフトバンクが2019年に立ち上げた。現在はホンダやスバル、マツダら自動車メーカー7社も出資する。「オンデマンド交通サービス」のほか、看護師と医療機器を車両に載せた「医療MaaS」、行政手続きの相談などが車内のオンライン会議システムで行える「行政MaaS」などのサービスを実証中だ。3月時点での導入事例は54に及ぶ。

実証車両の大半はドライバーが運転しているが、改正道路交通法の施行で自動運転「レベル4」(特定条件下における完全自動運転)が解禁される4月以降、ソフトバンクが開発する人工知能(AI)を用いた運行管理プラットフォームを活用し、事業主体のニーズに応じて自動運転に切り替えていく。

道交法では、自動運転車を遠隔監視する「特定自動運行主任者」の配置が要る。ソフトバンクのプラットフォームは、人が対応する必要がある複雑な状況を除き、「遠隔監視AI」が状況判断をすることで、1人当たり10台程度を監視できる能力を目指している。乗客へのアナウンスや簡単なやりとりもAIが担う。

ソフトバンクはこのプラットフォームを使い、東京都港区の同社周辺で実証実験に取り組んでいる。モネも昨年まで広島大学(広島県東広島市)周辺で自動運転バスの走行実証を実施しており、両社のノウハウを生かし、さまざまな状況や車両に対応した自動運転MaaSの実現を目指す。将来的にはトヨタが開発している「eパレット」の活用も視野に入れる。

モネと組んでMaaSを実証する複数の自治体が自動運転サービスの導入に興味を示しているという。現在の自動運転技術は走行経路が限られるものの、運行効率を一段と高める効果が見込める。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞3月28日掲載