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2023年3月14日

日産と日産東京 メタバースで新車販売、新システムの実証開始

日産自動車と日産東京(竹林彰社長)は8日、メタバース(仮想空間)上で新車を販売する実証を始めたと発表した。高精細な3D(3次元)画像で新車の内外装を現実に近い感覚で確認し、契約までをメタバース上で完結できるシステムを開発した。大手自動車メーカーがメタバース上で新車を売る試みは国内初で、世界的にも珍しい。メタバースの活用で接触機会を増やし、販売店への誘引や新規客の開拓を図る。

車種やグレードの検討、選定から契約まで、新車購入時の全工程をメタバース上で行えるプラットフォーム「ニッサンハイプラボ」の実証を6月30日まで実施する。新車のオンライン販売はテスラのほか、トヨタ自動車「キント」やホンダの「ホンダオン」などがすでにある。日産は、オンライン人気ゲーム「フォートナイト」などで知られる米ゲーム大手、エピック・ゲームズの制作ツールを活用した専用プラットフォームを開発し、より現実に近い体験機会を提供する。

新車の展示スペースや商談席をメタバース空間に設置し、24時間いつでも新車を見学できる。実際に購入を検討する場合はまず商談を予約し、車に関する相談や見積り、契約などを日産東京の販売スタッフと行う。試乗はできないが、走行中の車の様子や景色などをイメージさせる機能も持たせた。

日産東京では、今回の実証に合わせ、研修を受けた9人のスタッフを用意しており、午前11時~午後8時まで商談に対応する。

日産が今回の実証に取り組む狙いは顧客との接点を広げることだ。インターネットの普及に伴い「買い回り客」が減ったことなどで販売会社への来店頻度は減っている。日産東京の山形大執行役員営業本部営業企画部長は「今はほとんどのお客様が購入する車を決めてから来店されるため、来店前にどれだけ車の魅力を伝えられるかが重要なポイントになる」と話す。

メタバース上での販売目標は非公表だが、日産は実証の成果を踏まえ、開発したプラットフォームを全国展開したい考え。日産のジャパン―アセアンデジタルトランスフォーメーション部の山口稔彦部長は「今回は都心部での実証実験だが、店舗までの距離が遠い地方での導入効果も大きいはず」と話している。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞3月9日掲載