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自動車産業インフォメーション

2023年3月09日

自動車メーカー「女性活躍」道半ば 管理職比率は上昇

2014年に当時の安倍晋三首相が「女性が輝く社会」を成長戦略の目玉に据えてから約10年になる。その翌年には女性活躍推進法が成立し、自動車メーカーも管理職への女性登用や女性の新規採用拡大を進めてきた。一方、各国の男女格差の状況を示す「ジェンダーギャップ指数」の国別順位は当時よりも低下しており、職業観や働きやすい環境整備への課題はまだまだ残る。

自動車メーカーは改めて女性の活躍を促す仕組みづくりに注力するとともに、女性以外も含めた幅広い人材ダイバーシティーの推進を図る。

近年、企業における女性社員の働き方の転換点となったのが15年8月に成立した女性活躍推進法だ。同法では、事業主に「女性の活躍状況の把握」や「課題分析、数値目標の設定」「行動計画の策定・公表」などが求められ、自動車メーカーも女性の雇用に関する目標を定めた。

数値目標の一つとして各社が掲げたのが、女性管理職の比率だ。ルノーとの提携効果もあり、ダイバーシティーの推進で先行していた日産自動車が17年までに10%に引き上げる目標を掲げたほか、トヨタ自動車とホンダは20年に14年比で3倍に増やす目標を発表。この達成を目指し、社内の意識改革や制度整備などで女性活躍の場を広げてきた。

この結果、女性管理職の比率は着実に上昇し、21年には日産が14年の5%から10・4%となったほか、トヨタは1・2%から3%に、ホンダも0・5%から1・8%に増加。おおむね目標に近い水準まで女性の管理職を増やした。

各社はさらに女性の活躍を促す取り組みを推進する。ホンダは25年に20年と比べて3倍に、30年には4倍に引き上げる目標を掲げる。若い年齢のうちから管理職へのキャリアプランを描きやすいようにするキャリア形成支援プログラムなどを通じて女性の活躍をさらに促す。

また、女性だけではなく、男性の育児休暇取得を支援する制度整備にも取り組んでおり、性別を問わずに誰もが同じ条件で働けるような会社づくりを進める。

日産も女性管理職比率を、現状約2割の間接従業員に占める女性比率と同等レベルに近づける計画。女性社員の採用拡大と育成促進で、将来の管理職候補の母数を拡大しながら比率を高める考えだ。トヨタは25年に、女性管理職の比率を14年と比べて4倍に、30年に5倍に増やす。この施策の一環で、在宅勤務やテレワークでの労働がキャリアのハンデにならない組織風土づくりを加速している。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞3月6日掲載