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2023年3月03日

東急バス 郊外住宅地で新移動サービス模索、遠隔監視の自動運転バス

東急と東急バス(古川卓社長、東京都目黒区)は、3月7日から13日まで多摩田園都市エリア(川崎市、横浜市周辺)で、遠隔監視による自動運転車両の運行管理の実証実験を行う。遠隔監視の自動運転を活用して、既存バス路線ではカバーできない区間における新たな移動サービス提供の可能性を探る。

合わせて近隣住民など一般の試乗を募り移動に関する課題・ニーズの把握にも取り組む。これらを通じてドライバー不足をはじめとした社会課題の解決と、東急沿線の生活環境の向上につなげていく。

東急は2020年に自動運転車両の遠隔監視の技術検証を開始。22年9月には東急バスと多摩田園都市エリアで自動運転の技術実証を行った。今回はそのノウハウを活用し、遠隔監視設備を東急バス虹が丘営業所内に構築。遠隔監視者1人で1台の自動運転車両の管理を試す。

実証実験では、遠隔監視側と車両側で視認性など安全確認に必要な情報に差異がないかを確認しつつ、運行の可能性を検証する。さらに既存バス路線には設定のない区間での移動サービスを自動運転車で補完するためのデータ・ノウハウを収集する。交通量の多い道路や狭隘路で、最高時速が20㌔㍍未満の自動車運転車と一般車両の協調走行を試す。車内に設置する自動案内システムやスマートフォンによる予約システムも検証する。

実験は川崎市麻生区虹ヶ丘地区、横浜市青葉区すすき野地区付近の虹が丘営業所~すすき野とうきゅう~虹が丘営業所の区間で実施する。午前10~午後4時の間、1時間2便運行する。乗車は無料通信アプリ「LINE(ライン)」による事前予約制で、乗車定員は1便当たり6人。

東急沿線の多摩田園都市エリアなどの郊外住宅地では、住民の高齢化の進行に加え丘陵地帯が多いため、従来以上にきめ細やかな移動サービスが求められている。その一方で、運輸・物流業界ではドライバー不足がさらに進むとみられており、同社は自動運転の遠隔監視で課題解決に活路を見出す。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞2月27日掲載