会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2023年3月02日

日本自動車輸入組合 試乗会、電動車で国内参入の中韓メーカーが存在感

日本自動車輸入組合(JAIA、上野金太郎理事長)が報道関係者向けに実施した輸入車の試乗会では、電気自動車(EV)が試乗車の約4割を占めるなど電動車に注目が集まった。今回は特に、電動車の国内販売を本格開始した中韓メーカーのEVが存在感を出していた。日本市場へのEV投入で先行する欧米勢も幅広いラインアップをアピール。一方、高出力エンジンを搭載したスポーツカーも人気で、内燃機関車の根強いニーズも裏付けた格好だ。

今回の試乗会には、インポーター各社から総勢60台強の最新モデルなどが集結した。大半を占めるEVなどの電動車に対応し、会場には10基の充電スタンドも設けられた。

試乗会の中心となったEVの中でも、多くのメディアが注目したモデルの一つが中韓メーカーのEVだった。このうち、韓国のヒョンデ「アイオニック5」は、日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会が選出する2022年の「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」を獲得するなど評価も高い。車体は比較的大柄だが、実際に乗ると大きさは気にならず、モーターならではの力強い加速を楽しめた。車内も広く、後部座席の足元の空間も余裕があった。前席は背もたれを倒すと、座席下部からふくらはぎを支えるレッグレストも出てくる。車内で快適に仮眠をとれる設計になっていた。

1月に発売したばかりの中国・比亜迪(BYD)のEV「アット3」。ミドルサイズのSUVで、アクセルを踏み込んだ際のモーター音がやや大きく聞こえたものの、加速自体はスムーズだった。運転感覚は日本車との近さも感じた。話しかけることで車が応答する音声認識機能は、窓の開閉などの指示に反応した。しかし、ラジオのチャンネル変更はできず、担当者によると今後のアップデートで対応していくという。

フィアットブランドのEV「500e」は今回、「オープン」仕様を試乗。折り畳み式のサンルーフを搭載したモデルで、女性にも人気があるかわいらしいデザインとマッチしていた。ただ、運転時にはAセグメント車とは思えないほどの力強い加速で、EVらしさを実感できる。一方、足回りについてはやや心もとなく感じる場面もあった。

また、スポーツモデルではいまだ内燃機関車の人気が衰えていない。ポルシェの高性能モデル「911GT3」は後部に搭載された水平対向エンジンから、背中に独特の振動が伝わる。アクセルを踏み込むと、体がシートに押し付けられるほどの力で加速。瞬時に最大トルクを発生するEVとは異なる加速感ではあるものの、内燃機関の良さも改めて確認できた。

また、サスペンションも、試乗コースの自動車専用道の継ぎ目がしっかりと分かるほど固めに設定。ステアリングの動きにタイヤが的確に反応し、そのままサーキットを走れる性能の高さを実感した。

アバルトブランドの「595」も小さなスポーツ車として人気がある。試乗車は手動変速機(MT)仕様で、車を操る楽しさを感じられるモデルだった。マフラーから噴き出す力強いサウンドは、ガソリン車の魅力をアピールしているようだった。

JAIAがまとめた22年の外国メーカー製EVの販売台数は1万4341台で、21年に比べて7割近く増えた。外国メーカー車販売の全体に占める割合も5・9%と、前年実績に比べて2・6㌽も拡大した。国産メーカーを含めた22年のEVの販売台数は5万8813台で、このうち4台に1台が輸入EVとなっている。

カテゴリー 展示会・講演会
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞2月25日掲載