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2023年2月27日

後絶たぬ中古車買い取りトラブル 22年の消費者相談は過去最多

中古車買い取り事業者などで組織する日本自動車購入協会(JPUC、井上貴之代表理事)が開設する「車売却消費者相談室」の相談件数が、2022年に過去最多を記録した。中古車需要の高まりを受けて買い取り業界は業者間競争が過熱したことが背景にある。相談内容では、買い取り商談後のキャンセルに関するものが最も多く、JPUC非会員の事業者によるキャンセル料の徴収の行為が目立っている。

非会員による現在の状況が続けば、消費者から買い取り業界全体の信頼を失うことが懸念され、JPUCでは業界ルールの順守徹底を求めている。

JPUCは、消費者に安心なサービス提供と業界全体の質の向上などを目的に、14年に設立された。会員は中古車買い取り事業者と一括査定を運営する媒体事業者で組織し、会員数は23年2月1日時点で75社となっている。

22年1~12月の1年間、車売却消費者相談室に寄せられた相談件数は、前年比18・0%増の2822件で前年より431件増加した。相談件数は、コロナ禍で車の移動や需要が一時的に減少した20年が同7・2%減の2200件と2年連続で減少した。21年は同8・7%増の2391件と増加に転じ、22年まで2年連続で増えた。

22年の相談件数のうち、キャンセルや査定額減額などの消費者と事業者間のトラブルに関するものは、前年比56・0%増の429件と大幅に増えた。トラブル相談で最も多いのは「キャンセルに伴う違約金」が214件、次いで「再査定(減額・契約解除)」94件、「キャンセル拒否」51件、「代金未払い」41件の順で続いた。

キャンセル拒否に伴う違約金トラブルの相談事例では、インターネットで契約後にキャンセルを申し出たところ、「解約条項に『契約解除には違約金として契約金額100万円以上の場合は契約金額の10%、100万円以下の場合は一律10万円請求する』と書いてあるとの理由で支払いを要求されたが、書面の交付もなく納得できない」、契約書の備考に「お客さまからの一方的なキャンセルは契約金額の20%を請求しますと追記された」などが寄せられた。

違約金に関して、常識の範囲を超える金額を消費者に請求しているのは、JPUCの非会員だ。会員企業は「JPUC行動基準」に沿って、法令順守などを徹底している。消費者から相談や苦情が入った際には、早期の対応と解決に努める。JPUCは「消費者から会員に関する相談であれば、指導できるのでほとんどクレームはない」という。会員企業への相談が入るのは「新入社員など現場スタッフの認識が不十分なことが要因の一つ」と考えられている。

一方、非会員の企業は社員教育が不十分なこと、消費者の車買い取りに関する知識の浅さを突くような商法を行っているのではないかと思われても仕方がない状況と言える。トラブル相談で2番目に多い再査定(減額・契約解除)の相談事例では、消費者が査定時に事故歴や修理歴を申告したにも関わらず「第三者機関で修復歴と判断された」などの理由で減額、または契約解除の要求、修理代を請求されたとの報告があった。

JPUCでは、第三者機関による判明という理由は「自分たちが見抜けなかったことを棚に上げて減額している」と厳しく指摘する。査定後にメーターの警告灯が点灯したので減額されたという相談には「減額したいから、故意に警告灯を点灯させた写真をユーザーに見せているのではないかと疑われても仕方ない」と憤りを隠さない。消費者からのトラブル相談が絶えない状況では、非会員による行為は不適切なものといえるだろう。

JPUCの会員は、JPUCモデル約款の順守など、消費者に信頼される業界づくりに努めている。JPUCでは、今春にホームページを改修し、消費者に自動車買い取りに関する情報提供のコンテンツを増やす予定だ。また、消費者に向けて「四輪自動車はクーリング・オフの適用除外物品」などの周知を通じて、注意を呼び掛けている。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞2月21日掲載