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2023年2月21日

富山県のディーラー 環境への取り組みで豊かな観光資源保全に貢献

険しくも美しい山々に囲まれたダイナミックな地形が生み出す自然美―。富山県が有する圧倒的とも言えるその美しさを、より良い状態で次世代に引き継いでいこうとする取り組みが、自動車産業においても一層の広がりを見せている。県内の自動車ディーラー各社の活動に注目した。

富山県立山町と長野県大町市を結ぶ「立山黒部アルペンルート」は総延長37・2㌔㍍、標高3千㍍級の山脈を貫く世界有数の山岳観光ルートだ。ルート内には雄大な高山自然と「黒部ダム」をはじめとする数々の景勝地が存在し、これからは春の風物詩「雪の大谷」が楽しめる。

ほぼすべての区間が中部山岳国立公園内に位置し、マイカーの乗り入れは禁止されており、バスやロープウエー、ケーブルカーといったさまざまな交通機関で結ばれている。このうち、富山県内のルートを運行するバス車両を納入しているのが富山日野(小林誠社長、富山市)だ。

車両の納入に際しては、輸送能力や環境負荷などの総合的な見地から、運営会社である立山黒部貫光(見角要社長、同)と協議を重ね、車両技術の進化に応じた最適な車種をその都度提案している。より多くの人に自然の美しさを直接的に伝え、幅広い層の旅行者がその魅力や尊さ、四季の素晴らしさを肌身で感じることになるアルペンルートの事業は、自然保護や環境保全の原動となる人々の自然を思う気持ちを育む取り組みと言えるだろう。

一方、自然と触れ合う身近な活動としては、ホンダ自販タナカ(浅生忠和社長、同)が顧客らと山歩きを楽しむ「ホンダカーズ富山スタッフと行くトレッキング」を年1回のペースで開催。地元の自然の再認識を促し、参加者からは「毎年楽しみにしているイベント」などとの好評を得ている。

ディーラー店舗では自然エネルギーの地産地消が進んでいる。ネッツトヨタ富山(笹山泰治社長)と日産サティオ富山(井元謙治社長)は、そのダイナミックな地形を生かした水力発電由来の「とやま水の郷でんき」を店舗運営に積極的に採用。とやま水の郷でんきは、県と北陸電力が主導する地元産エネルギーの利活用プロジェクトで、企業が施設などで使用する電力の電源を県営の水力発電所に特定できるもの。

ネッツ富山は2022年9月に開業した「婦中店」(富山市)で使用するすべての電力にこの水の郷でんきを取り入れ、電力の地産地消を実現している。

サティオ富山が22年12月に移転・新築オープンした「高岡インター店」(高岡市)は、店舗設計そのものを独自の省エネルギー構造とし、合わせて使用電力を拠点内に設置した太陽光発電と水の郷でんきの再生可能エネルギーに限定。店舗の電力使用に伴う温室効果ガスの排出量を実質ゼロとするカーボンニュートラル運営を成立させた。

主力の電気自動車(EV)と店舗コンセプトの一貫性をアピールし、地域グリーントランスフォーメーション(GX)と経済活動の好循環に結び付けたい考えだ。

カテゴリー 社会貢献
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞2月15日掲載