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自動車産業インフォメーション

2023年2月17日

自動車メーカー9社 22年4~12月期、円安追い風に好決算相次ぐ

自動車メーカー9社の2022年4~12月期業績が出そろった。原材料やエネルギー、物流費の高騰が重しとなったものの、昨年後半まで続いた円安の効果に加え、インセンティブ(販売奨励金)の抑制や値上げなどによる販売の「質的改善」で、9社合計の営業利益は前年同期比で4・5%増えた。

しかし、半導体不足が収束せず、生産・販売計画を下方修正するメーカーも相次ぐ。業績を下支えしていた為替も円高方向に振れており、来期にかけて事業環境は一段と不透明さが増す。

22年4~12月期の連結業績は7社が増収増益となり、うち6社の売上高は過去最高を更新した。スズキやいすゞ自動車などは営業利益も過去最高だ。ただ、スズキの長尾正彦取締役専務役員が「数字だけを見ると好決算」と言うように、各社の好調な業績は為替による追い風が大きい。

4~12月(9カ月間)の平均㌦円相場は1㌦=136~137円と前年同期よりも25円ほど円安で推移。為替の変動による営業増益効果は9社合計で1兆9千億円にものぼった。原材料やエネルギー、物流費などのマイナス影響も大きいが、「市況変化」による減益要因、合わせて1兆8500億円を為替差益だけで全てカバーできた計算だ。その上で、原材料価格上昇分の価格転嫁やインセンティブの抑制などが進み、各社は利益を上積みした。

足元の収益状況を踏まえ、3社は営業利益を上方修正したが、23年1~3月期以降の経営環境は厳しくなる見通し。足元の㌦円相場は1㌦=130円前後で推移し、これまでのように為替の恩恵が見込みにくくなる。

また、改善傾向がみられていたサプライチェーン(供給網)の問題も再び影響が拡大しており、通期販売計画の合計(非公表のスバルをのぞく)は昨年11月時点の前回公表値から約70万台、下方修正した。通期の生産計画を9万台引き下げたスバルの水間克之最高財務責任者(CFO)は「5、6月までは部品不足の影響が続く」と話す。

円安の追い風にも乗り、好決算を続けてきた自動車メーカー各社。生産制約や原材料高騰が続くなか、今後も収益性を維持するためには、これまで以上の企業努力が求められそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞2月14日掲載