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2023年2月15日

カスタムカー提案が加速 用品メーカーやディーラーの取り組み活発に

ユーザーの好みに合わせて車両を改造するカスタム人気が高まっている。多くの用品メーカーが対応パーツを用意する一方、さまざまなコンセプトやテーマに応じて車両全体を仕上げたカスタムカーを提案する動きも目立っている。こうしたモデルは初心者にとって選びやすく、カスタム市場の裾野を広げる効果が期待できる。

また、メーカーや流通事業者にとってもブランドイメージの向上に加え、一つのパッケージとして複数のパーツを提供することで収益拡大にもつながる。今後もカスタムカーづくりに取り組む動きが、アフターマーケットで広がっていきそうだ。

カスタムカーは今回の「東京オートサロン2023」でも、多くのブースで目玉となっていた。アルプスアルパインの市販用品などの直営店「アルパインスタイル」では、往年のアメリカ車をモチーフにした「カリカ」と「ハバナ」を出展。それぞれトヨタ自動車の「ハイエース」と「ライズ」がベースで、同社製のカーナビゲーションシステムなども装備した。会場でも開幕早々に受注が入るなど反響は上々という。

中古部品を手掛けるガレージアイ(駒場勇代表、長野県岡谷市)は、マツダの「ロードスター」にロータリーエンジンを搭載したカスタムカーを展示した。旧型をベースにした例はあるものの、「現行型では見られなかった」(駒場代表)ことから制作。このモデルも販売しており、新車では購入できないロータリーエンジン車の継承にもつなげる考え。

ディーラー各社の動きも活発だ。オートサロン常連の群馬トヨタ(横田衛社長、群馬県高崎市)は、新型「クラウン」をベースにした独自のカスタム車を初めて展示。日本未発売の「ハイラックス・オーストラリア仕様ワイドボディ」も展示し、国内市場での需要を探っていた。宮城トヨタ(後藤誠社長、仙台市宮城野区)も「シエンタ」をアウトドア仕様にした「MTGシエンタクロス2023」などを出品し、来場者の注目を浴びていた。

1月にグループ3社が合併して誕生したウエインズトヨタ神奈川(宮原漢二社長、横浜市中区)も初参加した。22年に立ち上げた商用車専門店「ワークピット」と、カスタム用品を手掛けるラブラーク(吉川治社長、大阪市城東区)が共同出展し、ヘッドライトを丸目にしたハイエースのコンセプト車などを並べた。ディーラーが展開する新たな商用車カスタムをアピールしていた。

「スズキアリーナ」店なども展開するエヌズ・ステージ(矢羽々博征社長、岩手県盛岡市)は、スズキ「ジムニー」をベースにした車両を3台出展した。このうちの1台が、カスタム車として販売している「エヌズリミテッド」の新モデル「アルパインスタイルエディション」だった。カーナビのほか、バンパーやグリルなどの外装パーツをアルパインスタイルでそろえた。ラリー競技用の車両2台と合わせ、ブースを訪れる人の関心を集めていた。

一方、これからのカスタムカーづくりを担う新たな人材も育っている。10年連続で参加した花壇自動車大学校(角川重博理事長・校長、仙台市青葉区)は、1991年式のマツダ「サバンナRX―7(FC3S型)」をレストア(復元)して出展。車体の錆や腐りをすべて板金作業で修正したほか、足回りや外板の塗装には学生のアイデアを取り入れたカスタムを施した。こうしたスキルを身に付けた学生が増えれば、カスタム文化の発展にも貢献しそうだ。

カテゴリー 展示会・講演会
対象者 大学・専門学校,自動車業界

日刊自動車新聞2月9日掲載