2023年2月10日
政府主導で自動運転の普及へ 全都道府県「レベル4」実証実験
経済産業省は、2025年度をめどに自動運転「レベル4(特定条件下における完全自動運転)」の実証事業を全都道府県で実施する。各地の「レベル2(高度な運転支援)」や「レベル3(条件付き自動運転)」の実証を来年度からレベル4に順次、移行させるほか、これらの実証事例をモデル化し、運営ノウハウなどを全国で共有できるようにする。自動運転の実証は自治体間で温度差もあるため、政府主導で実証を促し、新技術を普及させていく考えだ。
政府は、25年度までに全国40カ所以上でレベル4の自動運転サービスを導入する目標をすでに掲げているが、岸田文雄首相が1月の施政方針演説で、導入地域を全都道府県に広げる意向を示したことを踏まえて新政策を打ち出す。
レベル4をめぐっては、経産省主導の「RoAD to the L4(ロード・トゥー・ザ・レベル4)」により、全国4地域で実証が行われている。レベル4の将来的な社会実装を見据えたものだが、現在は道路交通法上、電磁誘導線や遠隔で車両を操作するレベル2~3の実証にとどまっている。今年4月に改正道交法が施行され、レベル4が解禁されるのに合わせて、これらの実証事業をレベル4に移行させる。
また、未導入地域向けに実証事例をまとめたマニュアルも今年度内に作成する。自動運転の技術的なノウハウに加え、採算確保や社会受容性の醸成手法、法的手続きなどソフト面のノウハウも盛り込む。成功事例を横展開することで、実用化の前倒しにつなげる。
システムが運転を担うレベル4は、特に中山間地などににおいて公共交通機関としての活用が期待されている。その一方で、採算確保などが課題になっており、自治体によって取り組みに差が出ている状況だ。政府主導で全国に実証事例をつくり、物流や地域交通の課題解決につなげる。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞2月4日掲載