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2023年2月09日

「オートモーティブワールド」開催 最新技術で業界の課題解決

自動車産業の最新技術が一堂に会する展示会「第15回オートモーティブワールド―クルマの先端技術展―」が1月25~27日の3日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された。電動化やコネクテッド化、自動運転技術、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)など、自動車業界が直面するさまざまな課題解決につながる最新技術や新製品、サービスソリューションなどが集結。来場者は100年に1度の大変革期を勝ち残るための情報を収集し、商談を進めた。

米国のスタートアップ企業であるAEye(エーアイ)は、独コンチネンタルと共同開発した長距離LiDAR(ライダー、レーザースキャナー)「HRL131ハイパフォーマンスライダー」を出展した。ソフトウエアでスキャニングを制御できるのが特徴で、フロントグリル装着型、ルーフトップ型の2種類を展示。ルーフトップ型は日本初公開となった。

車両は300㍍以上、歩行者は200㍍以上の距離まで検知できる能力を持つ。画角は広角125度×25度。2024年末の量産開始に先立ち、23年から自動車メーカーへのサンプル出荷を始める。

エクセディは、開発中の電気自動車(EV)用駆動モーターを初展示した。アスター(本郷武延代表取締役、秋田県横手市)のモーター用コイル「アスターコイル」を利用した独自の巻き方でコイルの占積率を90%まで高めトルク性能を向上させた。コイルの素材は、銅からアルミニウムに変更することで軽量化も実現。量産時期は未定だが性能評価などの試験を実施している。

戸田工業は、EV非接触給電用部材を展示。非接触給電は道路などにコイルを埋め込むことで車両へ給電するもの。同社が開発した衝撃に強い「フレキシブルマンガン(Mn)―亜鉛(Zn)フェライトプレート」は、厚み1~2㍉㍍のフェライトを格子状の「ガイド線」で細かく区切り、ポリエチレンでラミネートすることにより、硬い焼結板でも柔軟性を持たせた。自動車メーカーやコイルメーカーなどに提案する。

タカギセイコー(高木章裕社長、富山県高岡市)は、車載用水素タンクを展示した。独自の「回転成形法」で製造しており、従来から倍となる長さ1・4㍍とした。トラックなどへの搭載を想定し、性能評価を進めている。ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)で製造した車載バッテリーケースも出展した。発泡樹脂などの上下を複合材でサンドイッチしてプレスし、同時に端部などを射出成型することで、バリのない製品が約1分で成型できるという。

エイチワンはアルミ熱間加工で製造した自動車骨格部品やドアのインナーパネルを展示した。走行距離が課題のEVに向け、軽量化に寄与するとともに、部品の強度も各成型品で耐力350㍋ パスカル 以上と、高強度を実現させた。

ダウ・ケミカル日本は、タイヤ内部に塗布することで、パンク時でも走行に必要な空気圧を維持できる「セルフシーリングシリコーン」を出展した。釘などの突起物で発生した穴をふさぐのが特徴。塗布したシリコーンは剥がせるようにし、タイヤとシリコーン双方のリサイクル性を高めた。軽量化が求められるEV向けに、スペアタイヤを不要にする技術として提案する。すでに北米ではブリヂストンに採用されているという。

今回のオートモーティブワールドでは第1回目となる「グリーンファクトリー展」が開催された。部品サプライヤーが重要な経営課題の一つとして取り組むカーボンニュートラルを支援する製品、技術展示も目立った。

パナソニックは企業のカーボンニュートラル対応はもとより、エネルギーコストの上昇に伴う事業リスクが拡大する中で、純水素型燃料電池「H2 KIBOU」を活用したエネルギーの地産地消を提案した。

出力5㌔㍗で発電効率は56%を実現。複数台を連結することで最大50㌔㍗程度の出力に対応できるという。同社はこの純水素型燃料電池と太陽電池、リチウムイオン電池の2つの電池を連携したエネルギーマネジメントの実証実験を草津工場(滋賀県草津市)で実施している。

デンソーは、高効率水素製造システム「SOEC」を紹介した。消費電力を抑えた水電解装置で、高温の水蒸気を電気分解する。低温水電解に対して消費電力を14%低減。排熱を利用する場合はさらに8%低減できるという。

カテゴリー 展示会・講演会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞1月28日掲載