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2023年2月08日

カスタム用品もEV照準 軽量高剛性化、独自ブランド展開も

近い将来見込まれる電気自動車(EV)の市場拡大を見据え、カスタム用品の分野でもEVを照準にした新たな製品や技術を提案する動きが加速している。ホイールなどの定番商品でもデザイン性の向上だけでなく、同等の内燃機関車に比べて重くなるEVの特性に合わせた品質追求が進む。

好みに合わせた内外装に仕上げたカスタム車両の製作も目立ってきた。1月の「東京オートサロン2023」でもEVを軸とした出展が増えてきており、さらなる市場拡大につながる可能性も高い。

BBSジャパン(北秀孝社長、富山県高岡市)では、新素材のアルミニウム合金「フォルテガ」を開発した。従来品と同等の剛性を保ちつつ、10%の軽量化を達成。この特性を生かしたEV用ホイールを東京オートサロンに参考出品した。「デザインの自由度も上がり、立体感や繊細さなども表現できる」(北社長)と、仕上がりに自信を見せる。

EVの走行性能を高めるパーツを一体で提案したのが、ブリッツ(山口聡社長、東京都西東京市)。日産自動車のEV「アリア」に、エアロパーツや車高調整機能を備えたサスペンション、同社が力を入れている電子パーツ類を装着したカスタムカーを出品した。単に速さを追求するだけでなく、「乗り心地を高める製品開発に取り組みたい」(担当者)とEV時代のカスタム用品のあり方も探っていた。

中古車販売などを手掛けるハートアップワールド(佐藤義寛代表取締役、岡山市北区)は、米テスラ車向けの独自ブランド「ココロ」の展開に力を入れる。世界のEV販売で先行しているテスラ車の人気は日本でも高く、「20代から50代まで幅広い年齢層で需要がある」(佐藤代表)という。

東京オートサロンでも「モデル3」「モデルY」に独自パーツを取り付けた車両を展示した。「顧客からの問い合わせも受けている」(同社担当者)と反応は上々で、今後、さらなる製品の改良に取り組む方針だ。

EVを発売するメーカー自体も率先してカスタムの提案に乗り出している。三菱自動車では、「eKクロスEV」をベースにした「スムーズバイタフ」を持ち込んだ。専用のルーフラックやリアラダーを製作し、SUVテイストをより際立たせた。同社では現時点での製品化を予定していないものの、「EVでも三菱ならでのアウトドアイメージを楽しめる新たな提案を続ける」(担当者)考えだ。

22年の国内新車販売台数に占めるEVの割合は、約1・7%とわずか。保有台数の規模もいまだ大きくない中で、EVカスタム用のパーツ市場は限られているのが実情だ。それでも各社が積極的な製品や技術の開発に取り組むのは、将来の市場性に賭ける狙いがあるとみられる。

EV対応の製品が少ない中、品ぞろえやブランド力で競合他社を先行できれば、EV市場の拡大に合わせて一気にボリュームを取り込める可能性がある。一定の投資負担もかかる中、効率的な開発体制の実現や効果的なユーザー向けの情報発信に努めていくことが、さらに重要になっていきそうだ。

カテゴリー 展示会・講演会
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞2月2日掲載