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2023年2月08日

新型コロナ5類移行、ディーラー対応どうなる 来店客の心情を最優先

新型コロナウイルス感染症の「5類」への移行が決まった。経済活動の正常化がいよいよ近づく中、近畿の自動車流通業界もコロナ禍の出口を意識し始めた。危機対応の転機を素直に喜ぶ声が聞こえる一方、サービス業の側面を持つ新車ディーラーにとっては、来店客の心情が最優先事項であり、移行後もコロナ対応は部分的に続きそうだ。

1月27日、政府がコロナ対策を大幅緩和することを決め、5月8日から新型コロナの感染症法上の分類が5類に引き下げられる。これまでのような行動制限を伴う強い措置が取れなくなり、感染者の待機期間などが撤廃される。

新型コロナ禍以降、ディーラーでは全社員大会が激減した。2021年春頃からはウェブ配信を併用した形式が増えたが、リアル開催を望む声は根強い。あるディーラーの社長は「5月以降は全社員大会がリモートを使用せずに実施できる。コロナ禍前のような飲食を伴う懇親会も久々に開きたい」と期待する。

大方針は定まったが、ディーラー各社が5月以降の動き方を具体化するにはまだ時間を要する。政府が3月ごろに具体策を公表したのち、業界団体がガイドラインを示す見通しのため、これを踏まえて対応を決める流れとなる。

ディーラーにとって懸案事項の一つはマスクの扱いだ。政府の具体策は公表されていないが、5月以降、屋内でのマスク着用は個人の判断に委ねられる見込みだ。各社も「店内での着用判断は来店客に任せるしかない」といった認識で一致する。

悩ましいのは店舗側の対応だ。あるディーラーの役員は「5月以降も新型コロナに不安を抱える方はいる。それを考慮すると、われわれはマスクの着用を続けざるを得ない」と話し、アルコール消毒器の設置なども継続する考えだ。

社内的なルール作りも課題となる。5類引き下げに伴い、新型コロナの位置付けは季節性インフルエンザと同じになる。インフルエンザに関しては社員がかかった際の欠勤・出勤に関するルールを設定する企業もあるが、5類での新型コロナに関しては未知数だ。あるディーラーの総務部長は「まずはインフルエンザと同じ運用になるのでは」と見込む。

新型コロナが5類に引き下げられても、来店客の不安が全面的に消えるわけではない。このため「まずは来店客の反応を見つつ、コロナ対策の縮小を検討していく」といったディーラーが多い。約3年続いたコロナ禍の出口が見え始めたが、近畿の自動車流通業界は一段と気を引き締め、顧客ファーストの対応を続ける構えだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞2月3日掲載