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2023年2月06日

山形三菱、県・全35市町村と災害時協力協定 地域防災の強化に貢献

山形三菱(鈴木武浩社長、山形市)は、2022年11月までに山形県および県内の全35市町村と三菱自動車の3者間で「災害時における電動車両等の支援に関する協定」締結した。この中で、県とは最後に協定を結んでおり、大規模災害時など車両の確保が困難になった場合、全国から車両の支援が受けられるように強化した内容となっている。

県内すべての自治体(県と全市町村)と、三菱自のグループがこうした協定を締結するのは全国で初めて。地域防災力の強化はSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みでも重視されており、今後の取り組みに注目が集まっている。

県との協定は、大規模災害により停電が県内で発生した際、避難所などにプラグインハイブリッド車(PHV)の「アウトランダーPHEV」「エクリプスクロスPHEV」を提供。PHVの外部給電機能を活用し、電力の供給を迅速かつ円滑に実施する。

支援の流れは、県が被災市町村からの要請を受け付け、外部給電可能な車両の貸与について連絡窓口となる三菱自に依頼。これに基づき、山形三菱や全国の三菱自グループが避難所などに車両を運搬する。貸与するPHVは悪路の走破性にも優れており、災害時の迅速な対応の実現にも期待されている。

昨年8月には県内で大雨による災害が発生。同協定に基づき、初めて3町から車両貸与の要請を受けた。山形三菱は飯豊町にPHVを2台、小国町と川西町に各1台を提供した。各町ではPHVで町内の被害状況の確認を行ったほか、孤立した地区住民に飲料水を届けたという。また、同12月には豪雪により、災害対応に必要な車両が不足した小国町の要請で、車両1台を貸与したという。

同社新車営業部の岩田政志特販担当部長は「協定に基づく車両の提供に対し、それぞれの町から大変感謝された」と振り返る。さらに、「『PHEV』を災害時に実際に乗って使うことで、その有用性を認識してもらった」と胸を張る。

また、同社では災害対応と給電機能の活用、環境対策の主に3つの観点から、自治体の公用車としてPHVの導入拡大を目指している。岩田部長と各店舗の担当者は県や市町村の防災、危機管理担当者を定期的に訪問し、関係構築と情報交換を図っている。電動車両の購入意向や今後の公用車の代替計画を聞き取るとともに、防災訓練などのイベント情報も細かく収集している。

昨年は「山形県・東根市合同総合防災訓練」に協力した。電気自動車(EV)の給電機能を使ってポータブルエアコンを稼働させ、訓練参加者や見学者に対し災害時に避難所などに電力を供給できることをPRした。また、天童市主催の「ゼロカーボンシンポジウム」にも参加。

「電気自動車を知ろう!」をテーマに「eKクロスEV」を展示し、航続距離や充電方法について来場者に説明した。同社では今後もこうしたイベントに積極的に出展することで、電動車の情報発信に力を入れる考えだ。

同社は自治体との災害協定に基づき、PHVの貸与実績を積み重ねていくことで、地域の防災力強化に貢献していく狙い。SDGsの11番目のゴールである「住み続けられるまちづくりを」の実現に向けてのもので、災害に対する地域のレジリエンス(強靭性)向上を後押しする。

今後はこれらの活動を足掛かりに、自治体のほか、環境関連のNPO法人とも協力して高齢者や中山間地域を対象に「電動車セミナー」の開催も検討している。ガソリンスタンドがなくなっている地域で電動車の普及を進め、住民の不便さを解消する考え。同社として、地域社会が抱える課題の解決に率先して取り組み、自治体や住民との関係性を強固に築きながら、EV、PHVの普及促進を着実に進めていく考えだ。

カテゴリー 社会貢献
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞2月1日掲載