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2023年1月31日

大寒波に冬物用品の備えを メーカーや販売店も積極的な提案活動

日本列島を襲う今季最強の寒波を受け、車両の滑り止めなど冬物用品に注目するユーザーが増えている。オートバックスセブンでは例年降雪が少ない関西や九州の一部の店舗において、大雪の予報を前に冬用タイヤなどで「駆け込み需要が発生した」(広報)としている。

また、車両滞留に巻き込まれた万一の場合を想定し、乗員の身を守る用品類を提案するメーカーも出ている。近年目立った大雪による車両の立ち往生で政府が対策に本腰を入れたこともあり、ここ数年の冬物用品市場は好調に推移している。今季も寒さの峠は越えていないとみられ、ユーザーの関心を集めそうだ。

オートバックスセブンでは容易に着脱できる布製チェーンの販売が昨年12月、前年同月比で約1・5倍に伸びた。今年1月は足元の大型寒波の影響もあり、同約3倍を見込んでいる。こうした車両のスタックを防ぐ冬物商品は、本格的な降雪を前に購入するユーザーが多い。このため、足元の大規模寒波を前に、需要が活発になったとみられる。

一方、車両滞留はこの寒波の中でも全国各地で発生した。物流を支えるトラックなどが数多く巻き込まれた。道路上で長時間身動きができなくなった事態でも乗員の命を守るため、尾西食品(古澤紳一社長、東京都港区)は食品や携帯トイレなどをまとめた車載用防災ボックスを開発した。昨年6月には関西地区の一部の自動車ディーラーで取り扱いを開始。今季の降雪に間に合うよう、同10月に市販市場にも投入した。今後、認知を高めていけば販売が伸びる可能性がある。

車両滞留の原因となりやすい大型車のスタックから脱出を支援する用品を提案するのが、コイズミ(小泉俊司代表取締役、東京都板橋区)。昨年、スタックした車両の駆動輪に装着する脱出用具を発売した。車体が前進する際に金属製の爪でグリップ力を高める仕組み。同社は、新たな雪道の対策用品として提案していく考えだ。

都市圏では公共交通機関が発達している一方、地方都市などでは、日常生活でクルマが必要となる。そのため、大雪となった場合でもクルマを使用せざるを得ないケースも考えられる。このような地域性も踏まえれば、今後も大雪による車両の立ち往生が各地で発生する可能性はゼロではない。こうした事態に対応できる新たな用品が、非常事態に遭遇したユーザーを救う手立てとなりそうだ。

カテゴリー 交通安全
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞1月28日掲載